ACE | ナノ

▽ ヘタレくんと男前ちゃん



ゴロゴロゴロ


さっきまでいい天気だったのに、いきなりの嵐。
ほんと新世界の天候って気分屋さんだわ。
なんて呑気な事を思っていたら近くに雷が落ちた。


ゴロゴロゴロピシャーン!!


「キャァァァァ!」


うん、こうやって叫ぶ子って何だか守ってあげたくなるよ。可愛らしくて。






「***!絶対離れんなよ!?ヒィ!今!目の前!目の前に落ちたぁぁぁぁぁ!!」


うん、女の子だったらね。
何が嬉しくてこんなゴツい男に頼られなきゃならんのだ。


「エース。あんたほんとに2番隊隊長?雷くらいでそんな怖がって……よく隊長出来るよね」
「馬鹿野郎!雷って怖ぇだろ!?あんな大きな音でピシャーン!って!!」


なんて必死に訴えてくるエースに呆れながら部屋を出ようとドアに手をかけた時、後ろからドンッとエースの腕がそれを遮った。


「どこ行こうとしてんだよ」
「………いい加減付き合ってられないからコーヒーでも飲みに行くの」
「お前……こんな状況で俺を置いていくのか」
「誰か隊員呼んでくるわよ」
「馬鹿!それこそ馬鹿野郎だな!こんな姿隊員に見せれる訳ねぇだろ!?」


そう。実はこんなヘタレなエースを知っているのは隊長達と私くらい。他の隊員達の前では強気でいるが、ほんとはヘタレ。てかビビり?


はあ、とため息をつきながら少し涙目のエースを見る。


「コーヒー貰ってきたらすぐ戻るから」
「すぐってどんくらいだ!?10秒くれぇか!?」
「馬鹿か。ここから食堂まで3分は早くてもかかるわ。モビーなめんな」
「3分………」
「………なんなら一緒に食堂行く?」
「…………………部屋の外のが音デカイからいい」
「あっそ。まあ、なるべく早く戻ってきてあげるから」
「絶対だぞ!!約束だからなっ!!」


たく、私もほんとつくづくエースに甘いなって自分に呆れながらドアを開けた瞬間、部屋が真っ暗になる。


「あれ?停電かな?まあ、さっさとコーヒー貰って来「うぎゃあああああ!***!どこだ!!俺を置いてくんじゃねぇ!!」


エースの叫ぶ声とガシャンやらドスンやら物が落ちる音が響く。いや、ただの停電でどうしたらそこまで騒げるのか逆に聞きたい………


「エース。あんた火でしょ?それで明かり作って待ってなさいよ………」


シュボと火のつく音とエースの泣きっ面が見えた。
なんでこんなのがナースにモテるのか知りたい……






- ヘタレくんと男前ちゃん -



エースごめん、ごめん。サッチと少し喋ってたら遅くなった
***!!早く戻って来るって行ったじゃねぇか………!
ごめんって………まじ泣きしないでよ……


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