▽ 3
“緊急事態!警備を強化しろ”
書類整理をしていると、アナウンスが響き渡る。
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜仕事してこようかしら」
「何事ですか?」
「何でも、ん〜〜〜〜〜〜〜侵入者が現れたそうよ」
「侵入者!?インペルダウンに!!?」
「えぇ。モンキー・D・ルフィ。何でもん〜〜〜〜〜ポートガス・D・エースの弟らしいわ」
“弟”と聞いて嬉しそうに話していたあいつの顔が頭に浮かんだ。
私には関係ない。インペルダウンに侵入するなんて弟も馬鹿ね。
そう思い書類整理を再開しようとした。けど、兄の話をして謝ってきたあいつの顔が今度は浮かんだ。ほんとに申し訳なさそうに言っていた奴の顔が。
いつの間にか奴の牢獄の前まで来ていた。
無意識にここに来ていた自分にビックリしつつ戻ろうとした時、奴が私に気が付いた。
「お、***じゃねぇか!今日の仕事か?」
呑気に言ってる奴に「弟が侵入したみたいよ」と告げる。するとすぐに顔付きが変わった。
「ルフィがか!?何でだ!!無事なんだろうなっ!!」
ただでさえ無理な体制で手錠されてる癖に私に向かって言う奴の腕からは手錠が擦れて新しく血が出ていた。
「何で侵入したのかなんて、こっちが聞きたいわ。…………まあ、あんたを救いに来たんじゃない?」
「……………………あの馬鹿…」
唇を噛み締めて焦っている表情。
弟の事、ほんとに大切にしてるのね……と、呑気にかんがえていると奴がこちらを見てきた。
「つーか、そんな事俺に言ってもいいのか?」
「…………………兄の敵よ。弟が来た事を教えたのは、何もできないまま弟がやられるのを感じていればいいわ。私は悔しい気持ちがあるまま処刑されるのをあざ笑ってやるの」
「………………はは、性格わりぃな***」
「それはどうも。」
少し笑いながら言う奴にそう答えて書類整理をする為戻ろうとするした時奴に名前を呼ばれた。
「………兄貴の事なんだけどよ…ほんとにすまなかった。」
まさかの言葉に反応が出来ない。
「***や、兄貴の気持ち考えたら俺の発言は腹立つよな………けどよ、俺もここに来てちったぁ嬉しい事もあったんだぜ?」
「………………手錠とかされるのがそんなに嬉しかったの?マゾ?」
「はは、ちげぇよ!***、お前に会えて良かった。***は人生を反省しろって言ってただろ?反省はねぇが後悔はしてる。***と違う形で出会えなかった事に後悔してる」
ニカッといつものように笑って言う奴に何も言い返せなかった。もう少しで処刑されるというのに、何を言っているんだ。不思議な気持ちと何故か心が少し温かく感じた。
「ば、馬鹿じゃないの。自分の状況も考えなさい」
「やっぱり***はそう簡単には口説けねぇか
何を言っても無駄だと思い牢獄から出た。
奴と話すと奴のペースに飲まれる……そう思い書類を片付けた。
prev /
next