15万打感謝企画 | ナノ
 

別に誕生日に彼氏がいた事はある。今回が初めてではない。だけど朝からソワソワしている。初めての歳上の彼氏。色々想像が膨れニヤケ面を周りの人に見られないように、口元を隠す。

桜並木を走り抜けるとある小さなカフェ。カフェ全体の見た目は可愛らしく、飲み物は勿論、食べ物も美味しいで老若男女問わずお客さんが来ている。そんなカフェのオーナーが私の彼だ。
昔からの友人…エースのバイト先に面白半分で行ったら、カウンターに居る男性に一目惚れだった。頑張ってアタックして、付き合えた矢先に私の誕生日。彼……マルコさんさんとの初めてのイベント事だ。しかも仕事を終え、スマホを見るとマルコさんからの連絡があった。

“仕事が終わり次第俺の店こい”

素っ気ない文でもマルコさんからなら嬉しくて仕方がない。ルンルンでお店に向かい、見慣れた扉を開いた瞬間、視界がキラキラとした物で埋め尽くされた。それが紙吹雪だと気づくのに少し時間がかかった。

「やべぇ!!紙の量多すぎた!!」
「あーあ。***ちゃん頭に紙吹雪積もってんじゃん」
「たく、おめぇ等はやり過ぎなんだよい」

マルコさんは勿論、エースやサッチさん、イゾウさんやいつものメンバー。マルコさんが私の目の前まで来たと思ったら、ため息と共に私の頭に積もった紙をはらってくれているマルコさん。そんな姿もかっこいいなあ、と見とれていると「間抜けツラ」と言い私の鼻を思いっきり掴むマルコさんに痛いと涙目で訴えると離してくれた。

それからは、至って普通の日常。ただいつもと違うのは沢山作られた料理。それを食べ、後はいつも通り騒いでいると、またいつもと少し違う事が。野太い歌声と共に大きな箱が運ばれてきた。エースがフラつきながら持ってくるもんだから皆ヒヤヒヤしていたが。

大きな箱を開けると、そこには大量のお菓子の山。しかも私が大好きな物から、最近ハマっているお菓子まで色々。喜びつつも少し気になる事があるものの、聞いていいものか迷う。すると能天気なエースが役にたつ時が来たようだ。

「そういやあ、マルコは***に何やるんだ?」

その言葉に変な緊張の空気が出来る。少しの沈黙の後、「ねぇよ」と平然と答えたマルコさんだがその言葉で変な空気だったのが一気に凍りついた。エースは私の方を気まずそうに見ているし、サッチさんもマルコさんと私を交互に見ているのにイゾウさんだけ平然と料理を食べている。そんな空気に気が付いたのか、タバコの火を灰皿に押し付けてマルコさんが口を開いた。

「なんだ。どうしたんだよい」
「……いや、なんつーの…」
「いや、ねぇ?」

私の方をチラリと見ながら皆が冷や汗を流している。
まずい、皆私に気を使ってリアクションに困ってる。何とか空気を戻さないと折角の集まりが気まずくなる。

「あ、ありがとうね?皆に祝って貰えて嬉しい!!」
「た、たまには俺もいい事やるだろ?俺が言い出したんだぜ?」
「そうなの?エースが?以外!!」

なんてぎこちないものの空気を変えようとしていると、料理を食べ終えたであろうイゾウさんが立ち上がった。

「マルコ、そろそろ俺達はおいたまするから……まあ機嫌直せよ?折角の***の誕生日なんだからよ」
「……なんの事だよい」
「いーや?」

笑いを堪えながらイゾウさんの何か意味ありげに言う言葉に、無愛想に返すマルコさんをエース達と見ていると「お前等もそろそろ帰れ」とエースとサッチさんに言うマルコさん。シッシと手で何かはらうかのように言うマルコさんにサッチさんも何か察したのか、エースの腕を引きながら立ち去ろうとする。よく分かっていない様子のエースを他所にサッチさんの表情がニヤニヤしたものに変わっていた。

「わりぃな、マルコ!!まあ、後はごゆっくり」
「うるせぇよい。さっさと帰れ」

また新しくタバコに火を付けぶっきらぼうに言うマルコさんに「へいへい」と意味深な笑みを浮かべるサッチさんと「***、またな?」と私の頭を優しく撫でるイゾウさん。
今だに私同様、状況が掴めないエースは2人に引きずられながら店を出て行った。さっきまで騒がしかった分、やけに2人のこの空間の静けさが気になる。

どうするべきなのか…この空気の気まずさにどうするものか迷っていると、マルコさんが新しくタバコに火を付け低い声で私の名前を呼ぶ。思わずビクリと体を強ばらせると、フーと煙を吐きながら手招きされ恐る恐るマルコさんの近くまで駆け寄る。

フワリとタバコの香りと共にマルコさんの体温が感じる。抱きしめられる事なんて今までもしてきたのに、何故かいつも以上に鼓動が早くなる。抱きしめられたものの、何も言わずずっとこのまま。そろそろ離してくれないと身が持たない。

「あの…マルコさん……??」
「たく、やっと帰ったかアイツ等。空気読めよってんだよい」
「??」

少し呆れたような声で言うマルコさんだが、ゴソゴソと自分のポケットを漁っている。不思議に思っていると首元にヒヤリとした感覚が。マルコさんの腕の力が緩んだ瞬間、目を胸元に向けると見覚えのないネックレスが付けられていた。

「おめぇはすぐフラフラしそうだからな、俺のっていう目印だ」
「うわあ……ありがとうございます……ってそれどういう意味ですか」
「そのままの意味だよい。後そろそろ敬語も辞めろ。自分の女に敬語使われていい気がしねぇ」
「わ、分かりました」
「敬語」
「分かった!!」

私の言葉に満足した様子のマルコさんをチラ見しつつ、ネックレスに再び目を向ける。控えめながらもキラリと光っている石。多分私の誕生石のダイヤモンドだと思う。
こんな高そうな物いいのかな…少し不安げに見ていると、荒々しく頭を撫でられる。フと見上げると優しく微笑むマルコさんが。

「今は安もんだが……今度はもう少しデカいやつ指に付けてやるから期待しとけ」
「え、それって……」
「ケーキさっさと食っちまえよい。サッチの野郎がバカみてぇに作ったからおめぇ気合入れて食えよ」

私が質問をしようとするとマルコさんによって遮られた。いつもとは少し違い早口なマルコさんに、不思議に思っているとある事に気が付いた。耳が少し赤くなっていた。マルコさんでも照れたりするのかな……そう思ったのと同時に照れを隠しているマルコさんが新鮮で可愛く見えた。



- 心の距離、近付いた -


見てみろよイゾウ!マルコの奴照れてやがるぜ!!
ほんとだな…いいもん見れたなこりゃあ。
お、おめぇ等帰ったんじゃねぇのか!!?
いや、マルコが***にどうやって祝うのか楽しみでよー

(ああ、貴重なマルコさんの照れタイムが…)



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