15万打感謝企画 | ナノ
 
待ち合わせの10分前、いつもデートする時に待ち合わせ場所として使う店につくといつもなら見当たらない彼の姿がそこにはもうあり、駆け足で彼の元へ向かう。彼も私に気が付いたのか、私より早いスピードでこちらに向かってくる。

「***!!!」
「ごめんね!待たせた??」
「俺も今来た所だから大丈夫だ!」
「なら良かったあ」

私が安堵の表情を浮かべていると「ん!」と元気な声と共に手を差し伸べ、その手に自分の手を重ねると優しく握ってくれる。エースとの付き合いは長いが、毎度この時は気恥ずかしくてニヤけてしまう。ニヤけている事がバレないようにエースの隣を歩いていく。歩幅を合わせて歩いてくれるエースの事を改めて好きだなあ、なんて実感しながら今日お目当てのショッピングモールへ向かう。
いつも通りブラブラしていると、映画館の前でエースの足が止まった。不思議に思いエースの顔を覗き込むとゴソゴソと珍しく持ってきている鞄の中を焦っていた。肩からかけるタイプの鞄のせいか、背中に腕を伸ばして探している。するとお目当てのモノが見つかったみたいで笑顔で紙切れを差し出してきた。

「この映画見たがっていただろ?」

ドヤ顔で見せてきた紙切れを見ると、確かに以前ポツリと呟いた記憶がある映画の題名が書かれていた。私も忘れかけていた事をよく覚えているなという気持ちもあったが、そんな些細な事も覚えてくれていて嬉しくなる。
エースと映画というのも初めて、見たくても一緒には無理だろうなと思っていたから尚更。付き合い始めた時、エースと映画見ようとしても直ぐ寝てしまい、横で大いびきをかかれた事があり、それから何となくエースとのデートの時に映画を選択する事を避けていた。

しかも今回私が見たかったのはドロッドロの甘ーいラブストーリー。エースが一番苦手なジャンルだったから友達とでも見ようと思っていたから笑顔で返事をし、映画館へと入る。しかし案の定寝てしまったエースを盗み見をしながら映画を1人見る事にしたが、気持ちよさそうに寝ていたエースに釣られてか、私も寝ていたようで気がつくと映画は終わってたようで周りには誰も居なく私達だけになっており、慌ててエースを起こし映画館を出る。エースは勿論、私も寝ていた為どちらも映画の話をせず黙々と歩いていると「あ、あのよ」と少し気まずそうにエースが声をかけてくる。

「折角だからよ、プリクラでも撮らねぇ?」
「別にいいけど、折角ってなにが??」
「……え、映画見た記念?」
「……お互い寝てたのに?」
「おまっ、それは触れねぇようにしてたじゃねぇか!」

プ、と2人で笑い出しいつもの空気に戻りエースの手にひかれながらゲームセンターに向かい、最新と表示されているプリクラ機に入る。私は友達と撮る機会があるから、ある程度は慣れているが、エースは慣れていないせいでアタフタと慌てている。付き合い始めた時エースに言ったが、苦手だと断られていた為エースから言われる何て

「エース、あそこのカメラ見て」
「あれか!?」

3枚目にして漸くまともなのが撮れ安心していると、また横でゴソゴソ鞄を漁っているエースに「エース、もう次っ…」と声をかけた時、パシャというシャッター音と同時に箱を差し出された。驚いている私にお構いなしに「開けてみろ!」というエースの声とプリクラ機の「次は手を頬にあてて〜」という声に焦らされ慌てて開けると、そこには私が欲しかった可愛らしい腕時計が入っていた。驚いて腕時計を見ているとシャッター音が。だけどそんな事よりもいきなりの事で頭の整理がつかない。

「え、これどうしたの!?何で!!?」
「いいから、いいから。ほれ次撮るみてぇだから箱の中身見えるように撮ろうぜ?」

私に構わず、私に箱の中身を見せる体制を取らせ、そんな私の肩をエースが抱いている。キメ顔を作るエースの横で驚いて変な表情の私が一瞬画面に写り、次に行くみたいでプリクラ機が話し出すが、思わずエースに「え、何で??」と聞くと呆れた表情のエース。タイミングがいいのか悪いのか、今度は2人して変な表情の時にシャッター音が響く。

「何でってお前……今日は***の誕生日だろ?」

少しのタイミングの後に「あーーーっ!!」と叫ぶ私の声と、最後のシャッター音が響き、私の“誕生日記念”のプリクラの最後は私が大口開けていて、エースはそんな私をみて笑っている姿だった。

我ながら自分の誕生日忘れるって……
と、自分自身に呆れながらプリクラの落書き場へと進み、間抜けな顔ばかりのプリクラに落書きする事にした。



- 鈍感というより間抜け -


まさか自分の誕生日忘れてるとは思わなかった
いや、本当ごめん……
ま、そのおかげで俺のサプライズが成功したのもあるからいいけどな!!
(あ、だからいつも遅刻するエースがしていなかったり、映画見ようとか言ってくれたのか……)

エース、ありがとうね



≪ | ≫

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -