▽ お買い物は女の子とのが楽しい
サボもコアラも居ないこの空間の異心地の悪さは相変わらずでチラチラと嫌な視線を受けながら朝食を食べる。実際、皆にはデザートまであるのに私にはなく残飯のようなもの。肉の端とか焦げた所とか。
ま、腹に入れば問題ないし味も悪くないし。こんなの気にしてたらキリないし。
そんな事思って黙々と食べていると、スッと小皿が置かれた。目をやるとそこには美味しそうなプリン。フルーツも少し飾られていてちょっとしたプリンアラモードだ。小皿を差し出してくれるのなんて、この船で誰かなんて決まっている。この船で私の隣に座ってくれる人なんて2人しかいない。
「これ俺専用特別デザート。他の奴には秘密だから」
「何言ってんのサボくん。皆知ってるからね。***ちゃんこれあげる!!私さっきパン食べちゃってお腹一杯なんだあ!」
騒ぎながらも私の両隣りに座り、私を挟んで騒ぐ2人を見てプ、と笑ってしまう。
周りなんて気にせず話しかけてくれただけでも嬉しいのに、コアラなんて嘘をついて自分のご飯を差し出してくれる。サボも好物のプリンを差し出してくれる。
小さな声で「ありがとう」と言うと聞こえたのかニコニコとしている2人に、気まずくて視線を逸らす。すると他のクルー達と目が合う。さっきより遥かに憎しみを込めたような視線。
別にここの人と仲良くならなくてもいい。いつ戻れるかも分からないし、2人が居てくれたら平気だ。そう思う反面、2人に迷惑をかけていないか不安だった。まあ、この2人相手に嫌がらせは出来ないにしろ、いいようには思わないだろう。仮にもトップだとしても不満が積もれば何か起こるかも知れない。そんな事を考えるも、当の2人は気にもしてないようで呑気に話を続けていた。
「でね***ちゃん、明日島に着くらしいから一緒にまわろうよ!!」
「いや、俺とまわるよな!?」
「島に着くって事は情報とか食料の調達の為じゃないの?そんなに呑気にしてていいものなの?」
「ふ、ふ、ふ、幹部の特権でそこは大丈夫!!」
ピースを見せながらそう言うコアラに苦笑いをしつつも「じゃあ3人で」と言うとブーイングが。何でも1日しか上陸しない為そんなにはゆっくり出来ないから嫌だと言われた。尚更3人で回ればいいんじゃないかと思ったが、今言うと余計騒がしくなりそうなので静かに見守っているとジャンケンをし出した。
本当仲いいなと思いつつ結果を見ていると、どうやらコアラが勝ったみたいだ。キャッキャ言いながら「カフェ行ってー、お買い物してー、」など嬉しそうに話しかけてくる。
「明日が楽しみだね!***ちゃん!!」
「……そうだね」
嬉しそうにしている横で拗ねているサボを横目に答える。
い、いいのか…?いい大人がジメジメと拗ねているけど……。
関わるとこれ以上面倒な事になるのも嫌だし、コアラと明日の事を話しながら食堂を出る事にした。
- お買い物は女の子とのが楽しい -
***との初めての島が……コアラの野郎、俺の気持ち分かっている筈だろ!?なんで邪魔するっ……いや、2人の後ついてくか!!?
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