▽ 俺の扱いを考えてくれ
「ま、しょうがないんじゃない?」
平然とメシを食いながら答える目の前の女に唖然とする。人ごとのように言う彼女、***は何でも異世界から来たらしい。と、言っても彼女が来たかった世界とは違うらしく初めて会った時から愛想は最悪。
だが、何故そんな奴と一緒にいるかって言うのはただの俺の一目惚れだ。本人には「面白いから」と言ったが全くの嘘。こんな愛想もねぇ奴に惚れた俺がいけねぇだがな。
「しょうがないってお前、コアラ来なかったら危なかったんだろ!?」
「確かにそうかも知れないけど、最悪金的蹴っ飛ばすって」
「だから女がそんな事言うなって!!」
はいはいと気のない返事をする***に呆れつつも、***に変な事しようとした奴しめると心に決意しているとコアラがこちらをニヤニヤと何か企んでいるような笑みをこちらに向けてくる。こいつがこんな顔している時はろくな事が起きねぇんだよな。ニヤニヤと頬を付きながらコアラがコーヒーを一口飲み口を開いた。
「てかそう言うサボくんは、お姫様をほってどこに行ってたのさー」
「は?お姫様とか何それ……」
「バ、コアラ変な事言うな!!」
「えー違うの??」
「ち…がくはねぇけどさ」
「何ニヤついてんの。気持ち悪」
***の言葉にショックを受け言葉を失っている俺を見てケラケラ笑っているコアラの頭を思わず鷲掴みしてしまう。痛がってバシバシと俺を叩くコアラを無視し、***に渡そうと朝からずっと持っていた袋を差し出す。***に似合いそうな物を選んだつもりだ。
「***、着替え持ってなかっただろ?俺なりに似合いそうなの選んだんだけどさ、」
「えーサボくんの趣味って大丈夫なの??」
「……………」
コアラの言葉と***の沈黙に、それなりにあった自信が少しづつ失っていく。
あれ……もしかして俺選択ミスったか……??動きやすく、それなりに可愛いのを選んできたんだが………。
2人の前の為平常心で居るが、内心凄く焦っている。それはもう今にでも冷やせが吹き出すんじゃねぇかってくらい。だがそんな心配もよそにコアラが***よりも多く袋から服を取り出し広げ始める。
「サボくんにしては可愛いのあるねー!あ、***ちゃんこれ一緒に着ようよ!!」
「いいけどコアラが着たら胸パツンパツンになるんじゃ…すみません。怖い笑顔向けないで」
「お前等案外仲いいよな……」
コアラとはじゃれているものの服の感想が今だにない為、ハラハラしながら2人のやり取りを見ていたら***と目があった。少しムスっとした顔で袋の中から1枚、服を取り出し俺に向かって「ん、これ」と不機嫌そうな声で差し出してきたのは白のTシャツ。
「何この変なキャラクターみたいなの」
「ああ、それ可愛いだろー!一目惚れで買ったんだけど俺も一緒の…」
「サボって趣味悪い……って、サボがモッサリモサモサ喋ってるせいで麺伸びたじゃんか!!」
「案外伸びたラーメンも美味しいよ?」
「いや、マズイよ。コアラ味覚おかしいよ」
***の言葉にショックで動きが止まる。俺趣味悪いのか……こっそり***と一緒の柄のTシャツを買ったが言ったら今以上に怒られるんだろうな…
悲しい気持ちを隠すように微温くなったコーヒーを飲み干していると、ツンツンと服を少し引っ張られた。視線をそこにやると***がこっそり、コアラに見つからないように俺の服を引っ張っていた。
「ありがとう」
俺の方を見ず小さな声で言う彼女が可愛く見え、思わず笑っているとコアラに「サボくんニヤニヤして気持ち悪い」と言われたが今回は***の言葉のおかげでなんとも思わなかった。
- 俺の扱いを少し考えてくれ -
てか本当サボ趣味悪いね。なのに何で自分の服はそんなキメてるのさ。
あーそれね、私が選んでるからだよ!
だからそんな一昔前のカップルみたいなペアルックもどきなのか。
***!!決して俺とコアラはそんな関係じゃ…
えーサボくんとそんなの冗談としても嫌だー!
(コアラ…笑顔で言いやがって……)
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