私がトリップしたい世界と違う!! | ナノ

▽ 可愛い子は怒らせないことをオススメします



別にさ、ある程度の覚悟は出来てたけどさ?大人の嫌い方って尋常じゃないんだと実感したよ、ほんと。


「おい……これお前がやったのか…」
「…そうですけど?」


明らかに不信感のある表情でこちらを見てくる男。それに私も無愛想に返事をする。
何故、この男がこんな表情で話しかけてきてるかと言うと今日は私の側にサボが居ないからだ。普段でもこんな視線は感じていた。


だがギリギリ、サボが近くにいたおかげで直接は被害はなかった。
だが今日はサボはいない。用事があると言って朝から1人、小さな船に乗って何処かへ行ってしまった。
そのおかげで朝から沢山の人からこんな目で見られている。普段サボが居るおかげで気にしなかったが、ここまで嫌われたのか私。


まあ、無理もないか。いきなり現れたらしいし、私。
何でも船の壁から勢いよく出てきて倒れ込んだらしい。倒れ込んだ時かは定かではないが、意識はなくなかなか目を覚まさず。そして目を覚ました途端叫びだすという怪しさ。
うん、そりゃあ不信感もおこるな納得。


「おい!!!人の話聞いてるのか!この書類ミスだらけじゃねぇか」
「あ、すみません」
「たく…訳もわからねぇ奴の癖に仕事にロクに出来ねぇのか。」
「確認はちゃんとしたんですけどね?」
「あ?ミスだらけじゃ…」
「最後にサボにも確認して貰いましたけど?」


私の言葉に何も言えない様子の男。だが残念ながら本当の事だ。何故、男がこんな事を言いだしたのかなんて直ぐに分かった。どうせ私の事を気に食わないから痛い目見せようって魂胆だろう。
舌打ちをしながら私をジロジロと見てくる男。そしてニヤリと少しヤラしい笑みを浮かべたかと思うと強い力で私の腕を掴んでくる。条件反射で思わず腕を振り払おうとするが、しっかりと掴まれててそうもいかないみたいだ。


「ちょっとお前ついてこい……。特別に俺が仕事を見てやる…」


その言葉と表情にゾクリと寒気がする。
あれ?サボって海賊だっけ?海軍とか革命軍とかと違った!?こんなの海賊と対して変わらないじゃん。てか気持ち悪っ!!だから現実の男は嫌いなんだって!……あ、今は漫画の世界なのか、一応…。
1人納得しつつもこの状況をどうにかしないとなと考えていると、どこからか可愛らしい声が聞こえてきた。


「あーあ。サボくんに言っちゃおうかなー。サボくんお気に入りの物取られた時、手に負えなくなるんだよなー」
「コ、コアラさん…!」
「今のうちに彼女を離したら、特別にサボくんには内緒にしてあげるんだけどなー?」


女の言葉に顔色を変えて急いで何処かへ行ってしまった。
ラッキー助かった。なんて心の中で喜んでいると女のドアップがいきなり目の前に現れた。


「のあっ!?」
「ふふ、君が***ちゃんでしょ?やっと会えた!!」


そう嬉しそうに微笑みながら、私の両手を掴みグルグルと周りだす女に1つ、文句でも言おうと手を振り払った時思わずある所に視線が止まった。グルグルと回っている時も目の前でプルンプルンと揺れていたそれ。そう、彼女の胸だ。
今までこんな大きいのは見た事もなかったから、思わず2度見をしてしまう。そんな私に気づいてないのかニッコリと微笑む彼女の胸を鷲掴みする。1回、2回と掴んでいるそれを揉む。自分にはない感触。


「やっべ。でっけ。巨乳って肩凝るってほんと?」
「……………」
「てか分けてくれよ、その巨乳」


私の言葉に、先程までニコニコとしていた彼女が顔を伏せ何も言わない。そんな彼女を見て、今度は私がニッコリ…いや、ニヤリと笑い手の動きが一層激しくなる。


「いいなー。こんだけデカかったら男もイチコロだろうなー」


ニヤニヤしながら言うものの、男にどう思われようが関係ない。こんな事を言って、恥ずかしがる女を見るのが好きなだけだ。最低?もうそんな言葉、巨乳の友達から何十回と言われ慣れたから!!!
ドヤ顔で揉み続ける私に対し、プルプルと震えだした彼女。ふ、照れちゃったかな?と笑っていると、私の間抜け面の横スレスレにバキッという音と共に彼女のか細い腕が壁に向かって伸びている。それを見た瞬間、音の原因が彼女の腕だと気付いた。それと同時に「ふ、ふ、ふ、」と不気味な笑い声が聞こえてくる。


「いくら可愛い女の子でも、していい事とダメな事があるよね??」
「へっ…?あ、ああ!そうですよね!!」


形勢逆転したこの状況をどう回避しようか考える。が、何も思いつかない。冷や汗が尋常じゃないくらい流れている私に、微笑む彼女が壁の中から腕を引き抜く。彼女の腕は傷1つない。


「分かってくれて良かったあ!!ねぇねぇ、折角だからお茶でもしない?私、いいお茶の葉持ってるの!サボくん居るとなかなか誘えなくてねぇ…。今から是非!どう!?」
「へ、へい!!喜んで!!」
「ふふ、***ちゃん変なのー」


ケラケラと笑う彼女にぎこちない笑顔を返すのが精一杯だった。だって次は顔面にあのパンチをされそうだもの……。





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いたいた、探したぞ***っ!
サ、サボぉぉぉ!!!何、あの子!!怖いよ!!
***ちゃーん?どこ行くの?まだお茶のおかわりあるよ??ふふ…
へ、へい……(コアラちゃんの笑顔が怖いいいい…!)
(これは…***の奴、コアラに何かしたな……?)



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