私がトリップしたい世界と違う!! | ナノ

▽ 私が会いたいのは銀髪の天パ


   
監獄生活3日目。
特に代わり映えもなく過ぎていく。牢獄にある小さな窓から外を眺めるが、一面の海。そりゃあ、ムカつく位綺麗な!
本当に江戸じゃないだ…そう思うと自然に涙が出る。


「くっそ、あのオカマ!!いつになったら出してくれるの!?ご飯もロクな物出てこないしさ!大体あの人、人じゃないって!怪物だって!!」


キーっと叫びながら、小さな窓に付いている格子をガタガタと揺らす。勿論取れる訳もなく、無駄な体力を使うだけなんだけど。だけど、一向に出して貰えない気配にイライラしてたんだ、仕方がない。
自分自身にそう言い聞かせていると背後からクスクスと笑い声が。ただでさえイライラしているのに、そんな笑い声はイライラを大きくするだけだ。


「何クスクスわらってんだ、コノヤロー!!」


叫びながら振り返ると、明るい金髪に少しパーマかかったような髪型をした男が笑いを堪えていた。笑いを堪えたせいか、目に涙が溜まっておりそれを拭き取っている。


「調査から帰ってきたら面白い女を捉えたって聞いたから来てみたら…いいな、お前。あのイワさんを怪物扱いか」
「………あんた誰」
「ああ、わりぃ。自己紹介が遅れたな。俺はここの参謀総長をしてるサボだ。よろしくな」
「……誰が宜しくするもんか。ここから出してから言いなさいよ」


ケッと顎を出しながら言う。すると「そうだな」と考え込む男。考え込んだかと思うと軽く頷き、どこかへ行ってしまった。なんなんだ、あいつ。取り残され、イライラも余計積もる一方。だが、フとある事に気が付いた。


イワさん…?サボ…?あれ?最近そんな名前聞いた事あるような…。







『もーサボカッコイ!!生きてるとは思っていたけど、まさかあんなイケメンになって再登場とはねぇ』
『…ふぅーん……』
『いや、1回扉絵で短髪だったから、てっきり短髪だと思い込んでたわあ』
『へー…』
『***、あんた人の話聞いてるの…?』
『だってワンピースより銀魂の方が…って、ちょ、この銀さんやばい!この台詞!もぉ。銀さんに抱かれたいいいい!!!』



…………て、もしかしてあのサボか!?ワンピース好きの友人がうるさく言ってたあの!!最近出てきて人気になってきているというあの!!!
おお!!と納得したのと同時に頭をゴシゴシと掻きむしる。



「てか、ここワンピース!?ワンピースの世界!!すっげ、私すっげ!!本当にトリップしているよ!!てか何でワンピース!!!?銀魂は?シルバーソールは!!!何故!?」



のおおおとゴシゴシと掻きむしっていると、牢獄の外がガヤガヤと煩い。目を向けてみると、さっきのサボと名乗った男とあの怪物。


「な、イワさん。こいつ面白いだろ?」
「面白いというか、危ないッチャブルよ…」
「まあ、何かしようとしたなら俺がこいつを仕留める。だからこいつをここから出してやってもいいか?」
「…まあ、そう言うならヴァナタに任せるけど…」


ありがとうとお礼を言い怪物から鍵を貰っている。その鍵で牢獄の扉を開き手を差し伸べてくる。


「出してやったし、よろしくな!!」


ニッと歯を出し笑う男の手をペチンと叩く。


「出してくれたのは感謝する…」
「……そりゃどうも。名前くれぇ教えてくれよ」
「…………***」
「***な、分かった。お前面白いから一緒に居ると飽きそうにねぇな」


あっそと無愛想に言う私にお構いなしに笑っている男……サボとの生活が始まった








- 私が会いたいのは銀髪の天パ -




てか面白いからとか夢小説かよ。
ゆ、夢小説??
つーかその髪型なに。天パ?
あ?これか?実は人生初のパーマかけてみたんだけどさ、似合っ…
はあ?男は黙って天然パーマだろうが!!何パーマなんかかけてんだ。全世界の天パの人に謝れ!苦労してるんだからな!!
わ、わりぃ……

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