私がトリップしたい世界と違う!! | ナノ

▽ 案外この扱いも憧れてた


 
「あーなんであそこで止めなかったかなー。いやでも確定イベント発生したしいけると思ったんだよなー」

鼻を穿りながら気ダルそうに話す彼を盗み見をする。片方だけ肌蹴た着物。死んだ魚の目にフワフワとしたまとまりのない髪の毛。私が大好きな彼にそっくり。

「てかねぇちゃんは何してた訳?」
「え!いやー…」

喋れば喋るほど某ボイスにそっくりで思わず自分の頬を殴る。しっかり痛い。しかも思いっきり殴ったもんだからかなり痛い。ちなみに銀さんであろう目の前の人の視線も痛い。

「あのすみません!!なんて言うか……」
「…………」

やばい!!銀さんの視線が痛い!絶対銀さんに痛い奴だと思われた!!
だが正直に言うのか……?異世界の異世界から来ました!アハ☆っというのか!?
そ、それもどうなんだ…。大体、異世界って言って信じて貰えるのか??しかも異世界の異世界って。異世界から来たってだけで不思議なのに、私2回も異世界から来てるんだけど!!つーか異世界、異世界って言いすぎて私自身意味も分からなくなってきたんだけど!!!

「てかさ、おねぇさんもしかして俺のストーカー?さり気無く俺の家まで付いて来てるけど?」
「え!!?」

銀さんの声で我に戻る。確かに"万事屋銀ちゃん"の文字が。

のおおおおおお!!本物!!やばい!写真!!これは友人の自慢できっ……ってくそう!!私パソコンに飛び込む時、本当に出来ると思っていなかったから手ぶらで飛び込んだんだった……テンション上がってたし。

周りの目なんて気にせず四つん這いになりながら地面を叩いていると、カンカンと良い音を奏でながら軽快に階段を昇っていく銀さんの姿が。こんなチャンスを逃すと生涯後悔する!!




「うーっす。銀さんが帰ったぞー」
「ちょっと銀さん!どこ行ってたんですか!!」
「生活費稼ぎに行ってた。いやー厳しい戦いだったね!ほんと」
「どうせパチンコに行ってたアルよ。これだからグータラクソ人間は困るアル」
「神楽ちゅあん!?そんな事言ったら銀さん傷ついちゃうよ!?」
「そんな事よりも今月どうするっ…」
「深刻そうな顔しなくてもどうにかなるって新八ぃ」
「いや、そうじゃなくて銀さん……その後ろの人誰ですか」
「後ろ?」

「暫くお世話になりまーす!!万事屋ファミリーって仲いいんだね!玄関までお出迎えしてくれるなんてー」

漸く銀さんの視線が私を捉えた所で呑気に言っていると、ガラガラと乱暴な音と共に私の視界に映っていた万事屋ファミリーが質素な玄関のドアに変った。




- 案外この扱いも憧れてた -


たく、変な女持って帰ってくんなよ。
全くですよ。お金ないのに何してるんですか仕事取ってきて下さいよね。
おいおいひでぇなお前等。銀さんが得体のしれないモン持って帰らないから
ちょ、銀さん!?酷くない!?まあ、この扱いでもいいかも……ふふ

(声なんて掛けるんじゃなかったぜ全く)




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