俺の彼女はどうも“腐女子”みたいだ。
「もうねーこの漫画の主人公はモロ受け顔で滅多に攻めのが無いんだよねー」 「………そうか」 「その点この漫画の主人公は受けも攻めも多くあるから何だか得した気分になる!」
そう言ってさっき買ったばかりの同人誌とやらを嬉しそうに抱え歩く***。さっき少し見えたが表紙は某人気漫画の主人公達が……なんか……うん。あまり言いたくねぇ事をしていた。
俺も理解はしようと考えた。俺も女と女のエロ本は普通のエロ本よりエロく感じるしな!!そんなもんかなと考えたけど、無理なもんは無理だった。
***は付き合った時からオープンだった。 付き合った次の日には「隠せそうにないからもう言っとくね。私腐女子なんだよね」とサラッと言った。
その時俺はそんなモン平気だと思っていた。が、この前***が俺の部屋で買ったばかりの同人誌を読んでいた時***がトイレに行った隙に同人誌を開くと、男と男が……………ごめんなさい。これ以上は言うと震えが止まらなくなります。
けど好きな女が好きなモンだ。俺だって男。腹ぁくくる時はくくる。ゴクリと息を飲み、嬉しそうに俺の横に歩く***に「今日俺ん家寄ってかね?」と声をかけるとコクコクと首が取れるんじゃねぇかと思うくらい頷く***。
………男と男があーだこーだ言わなければ、ほんと可愛いのにな。少し残念に思うけど、楽しそうに話す***もちゃんと好きな俺が居るんだよな、それが。ベタ惚れだと改めて実感しながら***の歩幅に合わせて歩いて行った。
俺が一人暮らしをしてあるマンションの鍵を開け、リビングで待っているように***に伝えるとまたコクコクと首が取れるんじゃねぇかってくれぇ頷いていた。ハハと笑いながら飲みモンを用意する。
「悪りぃ、お茶しかなかった」 「構わないよ!ありがとう!」
俺から冷たいお茶を受け取りゴクリと一口飲む***が何だかエロく見えた。必死にそんな風に見えたのがバレねぇように平常心を保っていると「エース」と少しいつもよりトーンの低い***の声が。
「どーした?」
内心焦りつつ返事をすると俯く***。 不思議に思いどうした?と俯く***の顔を覗き込むといつもクリクリとしてて大きな目に涙を溜めていた。
「は!え?どうした!?」 「………………」
何も答えず口をへの字に曲げる***を軽く引き寄せ抱き締める。頭をポンポンとしてやると俺の胸の中で「うー」と唸りだした。 ほんとどうしたんだ***の奴……そう思いながらも抱き締めていると「エース」とまた呼ばれた。
「…どーした?」 「………あのさ、」 「ん?」
なるべく優しく***に返事をする。 するとまだ目に涙を溜めながら俺の方を見てきて「エースが嫌なら腐女子やめるから!」と少し早口で言ってきた。
「………え?」 「さっきも私の話……なんか……嫌そうだったし、やっぱり男の子からしたら腐女子とか…気持ち悪いだろうし……何よりエースに嫌われたくない……」
そう言いながら、また俺の胸にくっつきズズっと鼻をすする***に思わず笑ってしまった。 するとそれに気付いた***がムッとした顔でこちらを睨む。
「………私真剣なのに…」 「悪りぃ、悪りぃ!可愛いくてつい」
俺の言葉に余計ムスッとする***の顎を軽く手で上げチュッとキスをする。 キスなんて今まで何度もしてるのに顔を真っ赤にさせる***にまた思わず笑った。
「ばーか。俺は***にベタ惚れなんだよ。腐女子だろうが、ただの女子だろうが俺が***が好きだ。文句あっか?」
そう言うと真っ赤にしたまま小さな声で「ないです」と答える***にもう一度キスをした。
- 惚れたもん負けなんだよ -
じゃあ、エースに理解してもらえた事だしBLの素晴らしさをエースに教えるねっ!!! え?それはいいは…… 遠慮しない!遠慮しない!! いや…(遠慮じゃねぇぇぇぇ!!)
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