大学に入って楽しみにしていたサークル。 どんなのあるかな、なんてワクワクしていたのにどこで間違えたのか……。 目の前の人達を見ながら後悔していると、その後悔をする原因を作ったと言える張本人が眩しい位の笑顔で私を出迎えてくれる。そんな彼を見てため息が溢れる。
「やっと来たな!待ちくたびれたぜ?」 「あはは…すみません……」
大型犬がじゃれてくるように私に抱きついてくる彼、エースさん。何故か入学そうそう彼に目を付けられ強制的に彼が作ったサークルに入るはめになった。それから私の生活は変わった。 教室まで向かえに来る。食堂で友人と食べていると必ずと言っていい程隣に座ってくる。その度に周りの女の子から冷たい目で見られるは、陰口言われるは…… 入学して2週間経ちもう慣れつつあるが、このエースさんのスキンシップは慣れない。
「今日は街の見回り行くぞ!!」 「……エースさん…。あの…」 「あ?なんだ?」
覗き込むように私を見てくるエースさんを少し可愛いなと思いつつも、疑問に思っていた事を勇気を出して聞こうと今日は決意していた。
「白ひげレンジャーサークルってなんですか…」
そう、エースさんに誘われたサークル。サークル名もそうだが、その活動、メンバーも訳がわからない。活動内容はただボランティアなんだと思う。そしてそのメンバーも、大学の中でトップクラスのイケメン達ばかり。 マルコさんにサッチさん、イゾウさんにハルタさん……なんでこんな豪華なメンバーの中に私が入っているかも分からない。
私の質問にキョトンとしているエースさん。 そんな彼は確かに可愛いと思う。そりゃあ人気もあるのも納得だ。だけど皆知らないだけだ。この人の不思議さには誰もついていけないと思う。
「この世界の平和を守るのが俺等、白ひげレンジャーだ!!」 「……すみません、突っ込む気すらわかないんですが…」 「名前、諦めろ。エースは一度言い出すと聞かねぇ。おめぇも腹くくってエースの女になれ」 「変な事言わないで下さいよマルコさん…。腹くくるってなんですか。」
私の言葉にそこに居た全員が黙り込む。頭を抱え込むマルコさん、ため息を吐くイゾウさん、エースさんを指差し爆笑しているハルタさん、「まじかよ」を連呼しているサッチさんに顔色の悪いエースさん。 え?私何か変な事言った!? 焦る私を他所に、サッチさんがエースさんの頭を叩いていた。
「おまっ!お前、エース!!お前が協力してくれって言ったから、こんな訳の分かんねぇサークル作ったんだろ?#nema#ちゃん全くお前の事眼中にねぇじゃねぇか!」 「俺的にはすげぇアプローチしてたって!!」 「マルコの言葉に微動だにしていなかっただろ!?」 「そっそれは…その…あは☆」 「あは☆じゃねぇよ!!この馬鹿!!」
叩かれたエースさん痛かっただろうな、と思っていたらタンコブを作ったエースさんが私の前まで近づいて来たと考えていると改まった顔をしたエースさんに名前を呼ばれた。
「あのよ……その…」 「…なんですか?」 「ずっと俺の側に居てくれぇねぇか!?」
改まって何を言ってくるのか、この人は…… 呆れてため息が出る。しかし頑張って言うこの人は本当に可愛いなと思いつつ笑みがこぼれた。
「何言ってるんですか。毎日嫌って程私の側にいるじゃないですか。いい加減自重してくださいよ、周りの目が怖いんですから」 「………あ、はい。心がけます…」
少し涙目のエースさんをお腹抱えて笑っている皆さんに首を傾げてしまった。
- 鈍感も度が過ぎると暴力 -
ダハハ!エース!!まあ、頑張れ! うっせぇサッチ!腹抱えて笑うんじゃねぇ!!
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