03

あー、よかった。
本当に一時はどうなるかと思ったー。あのオレンジ男には感謝してもしきれない。釈に障るけど。そういや、あのオレンジ男どっかで見た気がするなー。

……人多過ぎないか?世の中にはこれだけの人がアイドル目指してるのかー。恐ろしい世界だな。
えっと、受験番号は……と。




昨日3階から社長が飛び下りた後、デスクの中から探し出したこの学園の資料。
そこには試験会場、時間、受験表が入っていた。
あれを私が探し出さなかったら社長はどうするつもりだったのだろうか。




自分の番号の席につく。
私はアイドル科の試験を受けなければならないみたいだ。
名前も本名である響で出されていた。
試験の内容は筆記と実技らしい。
筆記でどうやって選別すもりかは知らないけど、現役アイドルが落ちたりしたら恥だもんね。
よっしゃ、頑張るぞー!!




「全員席についたな。まずは筆記試験だ。当たり前のことだが、不正行為は許されない。また、実技で乗り切れると思うなよ。この学園の倍率は200倍。甘く見るな。それでは試験を開始する」




あのおっさん、やたらプレッシャーかけてくるなー。なるほどね、筆記とかいいながらメンタルもってことか……。




配られてきた試験に私は目を通す。


第一問 シャイニング早乙女のデビューシングルは?


なるほどね、アイドルたるもの、レコードくらい覚えろってことか……。


第二問 シャイニング早乙女の好きな食べ物は?


……ま、偉大なアイドルのプロフィールは知っておけってことか。


第三問 ユーはやる気ありますか?


……。あのおっさん……。こんなんでどうやってアイドルか見極めんだよ!!



と、あと三問くらいよく分からない問題が続いたがそれ以降はしっかりとした問題が出た。






無事、実技試験も終え、私は会場をあとにした。







ブーブーブー

電話がなっている。周りに人は……いないみたいだな。


「おはようございます、天音です」
『おー天音さん試験お疲れ様デシター』
「……社長ですか。」
『はいはい、社長デース!天音さんこのまま事務所に来て下サーイ』
「はい、分かりました。」
『しっかり天音で来て下さいネー、』




社長の一方的な電話が終わった。
とりあえず、ウィッグをとって、服着替えるかー。どっか適当な場所探してーっと。
社長に呼び出されるんじゃないかって着替え持ってきておいてよかったー!











「あれー?天音ちゃん?今日はおやすみって言っなかった?」
「んー、おはよう嶺二」


私はしっかり着替えて、さっき事務所についた


彼は寿嶺二。私より年齢は上だが一応芸歴は私の方が若干長いため、あまり敬語を使ったことはない。現在QUARTET NIGHTの一人として、じわじわと人気を上げているアイドルだ。数年前には、爆発的に売れていた時期もあった。


「おはよー。急な呼び出し?」
「うん、そんな感じー。嶺二は今から仕事?」
「そんな感じかなー。」
「んじゃ、またあとで!」


現在私は、QUARTET NIGHTの専属作曲家として彼らと仕事を共にすることが多くなった。今まで彼等が出した楽曲は全て、ここ重要、全て私が提供している。




私は嶺二と別れ、社長室に向かった


「おーしっかり天音さんですねー。」
「社長がそう言いましたから」

「それにしてもMs.天音。今日は危なかったデスネー。もう少しで試験も受けれませんデシター。時間はしっかり守らなきゃデスヨー」
「あー、あの電話、社長だったんですね。助かりました。」
「あの、一緒にいた女の子もよかったデスネー。お知り合いデスカー?」
「いや、知り合いというよりは、そこで会ったってかんじかな?」
「運もとても大事デース。彼女は運を持っていそうデース」


確かに、この業界どっちに転ぶかなんか本当に運だ。


「それとMs.天音あのままじゃすぐに女性だとばれてしまいマース」
「で、ですよねー。」
「男性の動き方をしっかり学んで下サーイ!新学期まで二週間くらいありマース」
「分かりました!」
「いい返事デスネー!バレたら分かってマスネー?」
「は、はい。」
「オーケーオーケー!健闘祈ってマース!」



そして社長は昨日壊した窓の隣の窓から出て行った。せっかく龍也が隣の窓直したのに……。かわいそう。




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