04
さっきは普通にペアの件を断っちゃったけど、私って本当にどうすればいいのかな。
卒業試験ってことはペアの相手の一生を決めることになるってことだよね。私は一応現役アイドルだけど、そんな私と組んでもいいのだろうか。
かといってペアなしの場合どうやって周りに説明すればいいかわからないし……。



「一人で考えても仕方ない、これは社長と話すしかないか……」


日中に社長と二人きりで話して周りに誤解されるのも嫌だから、夜に行くとして、社長って普通に部屋にいるのかな。いや、あの人のことだ大人しく部屋にいるとは限らない。ああ、面倒くさいな。
社長のことは本当に尊敬するけれどもう少し社長らしく振舞ってもいいんじゃないかなとは思う。まあ、ああいう人だからみんなついていくんだとは思うんだけどさ。
とにかく、社長に会うのは夜が更けてからだな。とりあえず今は南の島を楽しみか!!


残念ながら水着を着ることはできないけど短パンとTシャツを着て外に出た。もちろん日焼け対策はばっちり。さすがに日に焼けたりすると撮影とかで困るからな。


海のほうに行ってみるとレンの周りにたくさんの女の子がいた。周りにいる女の子たちはみんなレン目当てでペアを組んでと誘っていた。レンは一人ひとりにちゃんと返事を返してはいるけれど少し迷惑そうにしていた。その後私のことを見つけたのか女の子たちに断りを入れて私のところに来た。


「あれ、響ちゃん、水着は着ないの?」
「お前は嫌がらせか。」
「ごめんごめん。でも響ちゃんの水着姿少し見てみたかったな」
「機会があったらな」


なんていつもみたいに適当にレンをあしらっていると「楽しみにしてるね」なんて言葉を残し、私の頭をなでて、また女の子たちのところへと戻っていった。
私も特に誰かに会いに行くわけではないけれどふらふらしていると翔と那月に出会った。


「あれ、響、水着は?」
「いやー鞄あけたら、なくってさ。できる限り水着に近づけてみた」


納得したのか翔はそれ以上私に何かを聞いてくることはなかった。その後三人で水際で水の掛け合いなどをした。
青春ぽい!よくテレビで見るやつだ!同年代の子達とこんなことをすることがなかった私には新鮮で心の底から楽しんだ。そして、話の内容は自ずとペアの話になった。


「翔ちゃんと響くんはペアの相手は決めました?」
「そういうお前はどうなんだよ」
「僕ですか?僕は、決めましたよ」
「へー誰なんだ?」
「内緒です」


なんて那月のペアの相手を教えてもらえることはなかった。私も聞かれたが、まだ何とも言えないので保留ということにしておいた。翔に聞くと翔も相手は決めているけど断られるかもしれないとも言っていた。やっぱりペア選びは大変だななんて思った。
そういえば先ほど噂で聞いた感じだと音也は春歌ちゃんに申し込んだという。最初のペアの曲を間近で聞いていたからきっと二人はいいコンビになるだろうなと思った。まあ、春歌ちゃんが決めることなんだけど。


私の部屋まで翔が送ってくれるということで二人で部屋に向かった。










「それにしてもペアかー。大変だよなー」
「そうだな。響はまだ決めてないんだろ?」
「うん。まあ、この合宿中には決めるさ」
「俺さ、響と組めたらいいなって思ってんだよな」
「え?」


翔がなんて言ったのか理解できなくて、私は翔のほうを向いた。翔と目を合わせると翔の顔は真剣で、目がそらせなかった。


「響がよかったら、俺とペア組んでほしい」


翔にペアの申し込みをされるなんて全く予想していなかった私はどう答えたらいいかわからなかった。翔とだったら個人的にはペアを組んでもいいなとは思っている。翔の曲を作る約束もしているし、翔のことは友達として大好きだし。
でも、ペアについて私個人で決めることはできない。私と組むことで翔のこれからのアイドル人生を左右してしまうのだ。ちゃんと社長と相談して、私が誰とでもペアを組んでもいいという話になったら、しっかりと翔とペアを組みたい。一緒にいろいろなことを話し合って協力して一つの素敵な曲を作りたい。


「返事するの明日でもいいか?」


私の問いに翔は頷いてくれた。


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