「水ってこんくらいありゃ大丈夫か?」
「はい、多分大丈夫だと思います!」
私はレジで会計を済ませた。
「春歌ちゃん、先にこの水持っていってもらっていいか?」
「響くんは?」
「ちょっとトイレ」
「春歌ちゃー……」
トイレを済ませて外に出ると春歌ちゃんと一緒にHAYATOがいた。
「貴方にはわからないとは思いますが、とても大切な夢なんです」
春歌ちゃんはそう言ってトキヤに頭を下げ、小走りで翔達の元へ行った。
「何したの?」
HAYATOに少しきつく聞いた。
「別に、貴女には関係ありませんよ。」
「春歌ちゃんにあんな顔させるなんてHAYATO、よっぽど怒らせたんだね」
「一ノ瀬トキヤです。天音さん」
私が怒っていても動じず淡々とHAYATOは答えた。
「はいはい、じゃあ、一ノ瀬くん」
「トキヤです」
「は?」
「男同士で名字にくんづけはどうかと思いますよ、響」
「ふーん、そんなもんなのか。」
男の子同士で名字にくんづけはおかしいのか……。
「それで、貴女も貴女でこんなとこで何をしているんですか」
「友達が困っているから手助けしようかなーって」
「……貴女もですか」
「ん?」
「トップアイドルである貴女がこの学園にいることもおかしいですし、やっていることもおかしいです」
「……何がおかしいの?友達のために何かをすることがおかしいと言うのなら、君の方がおかしいと思うよ。」
「何がですか」
「アイドルはファンを元気にする職業。そのためにはまず自分が元気であること。そして、いつも周りを見ること。困っている人がいるのに、何もしないような人間はアイドル失格だと私は思うよ。」
「……」
「トキヤに足りないのはそういうところだと思う」
「……」
「あはは、お節介だったかな。
でも、アイドルの先輩としての一言だから聞いて損はないと思うよ。」
「……不愉快です」
「じゃあ、また今度」
私はトキヤと別れた。
トキヤが一体どんな理由で学園に通っているのかは知らない。でも、あんなふうにいつも誰も寄せつけない。そんな態度でいるようじゃ学園に通う意味なんてないんじゃないかな……。
ま、結局はただ不愉快にさせちゃったみたいだけど……。
私が翔達のところに戻ったときちょうど声が聞こえた。
「ハハノハーーハハハハノハアアアア」
声とともに翔のいたベンチの後ろから社長が現れた。
「ヒュウウウウウウウウ!」
シュタッという音がなりそうな着地を社長はした。
「精進する生徒の悩みを聞くのもミーの役目。
ミスター来栖!!」
「な、なんだよ!?」
その後私たちは学園長室に連れられた。
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