06
「響おはよ、ってもう夕方か」
「あはは、そうだな」
「大丈夫か?眠そうだけど」
「ん?ああ、大丈夫」
「今日さ、歌詞の提出の締め切りなんだ」
「神宮寺くんは?」
「まだ出してねぇみたいだ。七海ががんばってんだけど。」




昼に会ったときは覚悟決めたって顔していたんだけど、やっぱり私じゃだめだったか




「とりあえず、俺七海のとこ行ってくる。響は一回寝とけ」
「いや、俺も行く」
「無理すんなよ……」
「おう!」









「それで歌詞のカケラ探しか」
「こういうのは人数多いほうがいいだろ」
「そうだな」




私達は神宮寺くんの破った歌詞のカケラを探した。


しかし、見つけられないまま、時間を知らせるチャイムが鳴ってしまった



「そんな、」





誰もが諦めかけたとき





「えー、聞こえるかい?皆。」




神宮寺くんの声?




「子羊ちゃん、聞こえる?龍也さんも。皆も聞いてくれ。俺の歌今できた。
眠っていた思いを解き放つよ。最後のフレーズまで、It's show time!!」








あー、よかった神宮寺くんが退学しなくて。
そう思えるような素敵な曲だった。


皆は続けて放送室に向かった。私は皆のように何かをしたわけでもないので、大人しく部屋に戻った。
部屋に帰る途中に私は龍也にあった。



「龍也……」
「天音か」
「退学はもちろん?」
「なしだ。こんなん聞いたらな」
「そっか、よかった」



「お前、大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫。なんたってプロですから」
「……わかった」






私は龍也と別れて自分の部屋で休んだ。














コンコン




「……ん…」


「おチビちゃん、今いいかい?」




……神宮寺くんの声?



「はーい、今開けますー」


私は扉を開けた



「やあ、すまないね。寝ていたのかい?」
「ん、ああ。ちょっと疲れていて」
「だったら、悪いことをしたなー、」
「いいよ、別に。とりあえず入れよ。」




私は神宮寺くんを部屋に入れた



「ありがとう」
「ん?」
「君のおかげだよ。本気になれたのは」
「いや、俺は別に何もしてねぇよ。春歌ちゃんのおかげだろ?」
「子羊ちゃんもだけど、響。君のおかげでもある。あの言葉で吹っ切れた」


本気になったら?ってやつかな……。


「あー。でも、結局最後は自分で決めただろ。お前が音楽好きだったからだって」
「それを教えてくれたのも、本気にさせてくれたのも君だよ」


な、なんか近くないか?スキンシップであっても、近すぎないか?


「ちょ、神宮寺く」
「レン」
「……レ、ン」
「そう。だから、ありがとう、レディ」




……レディ?


「おい、お前頭大丈夫か?レディって……あと、近」
「あれ、気づいてないと思ったかい?」


そういってレンは私をベッドに倒した。
え、え、え!?



「ちょ、レ」
「本当の君を俺に見せてよ」



そう私の耳元で囁いた


「……っ」
「ねぇ、レディ」


さらに低い声で耳元で囁き、私のかぶっている帽子に手を触れた



「ちょっと、待って」


私はレンの手をはらいのけた


「これ以上はシャレにならない。」
「それは、ごめんね、レディ。でも、そんな赤い顔で言われてもなー」
「う、うるさい!!第一、一体いつから!!ていうか、どこまで知ってんだよ!!」


顔赤いとか言うな!こういうのに免疫ないんだよ、私は!レンはそりゃかっこいいし、いい声だし、女ならだれだってこうなるっての!!



「入学試験のときから違和感はあったんだけど、気づいてはいなかった。
でも、クラスが一緒になってからはすぐに分かったよ。君が女の子だって。
でも、内緒にしているみたいだし、気づいてない振りをした」
「な、なんでそんなすぐに」
「女の子のことならまかせてよ」
「なんかそのセリフ最低だな」



なるほど、さすがあれだけの女子を引き連れているやつってことか……。


「ひどいね、誰にも言わなかっただけ感謝されたいんだけど」
「それはどうもありがとうございました。」
「さて、これからどうしようか」
「え?」
「俺が君のことを喋ってもいいんだよって話」
「お前、最低だな」
「あはは、冗談だよ。ただ確認したかっただけ。これ以上は教えてもらえないみたいだし、俺は帰るね。じゃあね響」



そう言ってレンはおでこにキスをした


「……っ」
「この程度で赤くなるなんて響ちゃんはピュアだねー」
「う、うるさい!さっさと出てけ!!!」







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