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……普通に家に来るかと言ったが、仮にもトップアイドルの天音を家に連れ込んだりしていいのか?いや、別に善意であって何かをしようだとかそういう下心があるわけじゃねぇけど
「うわー蘭丸の部屋初めてきたー」
平常心平常心平常心
「すごーい、いっぱいCDがあるー、お、この曲……。」
「あんま、じろじろ見んなよ、恥ずかしいだろ」
「あ、ごめん」
女を家に上げたことなんか今までねぇし。つうか、あげる気もなかったし
「ここは、人を呼ぶようにはできてねぇからおもてなしとかできねぇからな」
「大丈夫、私が勝手にあがりこんだだけだし!
そういえば、蘭丸ってクラシックも聞くんだね!」
「ん?あーまー、嫌いではない。」
「なるほど……。これなら数日のうちにもう一曲できるかも!
ごめんね、遅れて」
「別に、俺が頼んだし、つうか、お前忙しいんだろ。無理しなくていいぞ」
「ううん、大丈夫!蘭丸の曲は絶対に作りたいから!」
……あー本当にこいつは。そういう風に言われたら誰だって勘違いするだろ。でも、あいつはそういうつもりでは絶対にない。それは分かっている。
「そういえば、これ」
この間天音にもらった曲に歌詞をつけたものを彼女に見せた。いつものことだが、とても時間がかかった。
「あ、この前の曲?歌詞つけてくれたの?ありがとう」
じっと天音は歌詞を読んでいた
「蘭丸ー」
「あ?」
「歌って、ほしいなー」
「……いいぜ」
この間もらったデモをいつも使っているコンポから流した。
「すごかったー」
「それは、どうも」
「結構練習してくれたんだねー」
「うるせぇ」
「えへへ。今、すごいドキドキするや。」
……はー。もうとりあえず天音は黙ってろ
「こんなことしてる場合じゃねえよ、とりあえず寝るぞ。ベッドとかねぇけどそのソファお前が使っていいから、それで我慢しろ」
「え、でも」
「いいから」
「蘭丸は床?」
「ああ」
「でもこのソファで二人は無理か」
お前、そのソファがそれよりでかかったどうするつもりだったんだよ。まじでいい加減にしろよ……。
「いいから大人しく寝ろ。電気消すぞ。」
「……蘭丸」
「あ?」
「……ありがとう」
「おう」
俺、今日寝れっかな……。
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「神宮寺と、響が休みか」
最近、仕事に追われていると聞いたが、あいつ身体は大丈夫なのか?昨日も寿から
『天音ちゃんに休みをあげてー(人´∀`)!嶺ちゃんからのお願いだよー(>_<)
あ、それと、ショウって人リューヤさん知ってる?』
という、うざいメールをもらった。なんだあのやたら多い顔文字は。あと、翔って、来栖のことだよな……。なんで寿が
今日はあいつ番組の収録だと言っていたっけな。
社長が何を考えているかはしらねぇけど、あんま無茶させるようなら、こっちでも何か手をうったほうがいいよな……。
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……疲れたー。久しぶりの学園だなー。はー……。眠たい。
私が校舎を目指して歩いていると神宮寺くんを見つけた。
まだ、授業をやっている時間だよね……?
「神宮寺くん」
「なんだ、おチビちゃんか。まさか君も俺のために授業を休んでくれたのかい?」
「いや、ちげぇけど」
「あはは、そうかい」
神宮寺くんの手には紙が握られていた
「これ」
「提出のものを破って捨てたんだけど、子羊ちゃんが授業を休んで集めてくれたみたいなんだ」
春歌ちゃんが……。
「それで?神宮寺くんはどうするの?」
「……」
「春歌ちゃんは神宮寺くんのために授業を休んだ。それに、答えなきゃいけないんじゃないかな?」
「……そう、だね」
「俺も神宮寺くんの音楽が好きだから、このままは勿体ないと思う。多分りゅ、日向先生もそう思っているよ。
だから、本気になってみたら?」
「……君はすごいね」
「それはどうもありがとう」
神宮寺くんと別れ、私は教室に向かった
「遅くなってすいません」
「ああ、響か。早く座れ」
「すいません」
「最近あいつ、遅刻とか多くね?」
「だよねー」
「やっぱ、一位の余裕じゃね?」
「先生もアイツにはあめぇよな」
……仕方ない、仕方ない。この件に関しては私が悪い
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