02

今日の午後の授業にも結局神宮寺くんはこなかった。


「レン、こなかったな。」
「そうだな」
「あいつ、やめちまうのかなー。」
「どうだろうな、こればっかりは俺達がなんとかできる問題でもねーしな。やる気出すか、出さないか、だろ」
「そう……だな」



私が言っていることのほうが正しいと翔もわかっているみたいだが、まだ納得していないみたいだ。


「あ、翔」
「ん?」
「明日、俺用事あって学校休むから、迎えいいわ」
「了解。にしても最近多くないか?なんかあんのか?」


……やっぱ翔にばれてるよなー。
実は、先日の収録でちらっとライブの話とCDの話をしたせいで、今度CDを出さなければならないことになったのだ。
そのレコーディングをつい先日終わらせ、今は宣伝のための番組収録に追われている。
それと、QUARTET NIGHTの曲と蘭丸の曲にもそろそろ手をつけなければならないのだが、手が回っていない。
あと、遊園地でイベントを行ってくれという話にも承諾してしまった。新曲の初披露を私とHAYATOがそこで行うことが決定した。


というわけで、実は学校に通う余裕がなくなっている。




「まー、いろいろあって」
「あんま、人のことに首を突っ込んだらいけねーとは思うけど、たまにはしっかり休めよ?」
「おう、大丈夫。あんま疲れてはねーし」
「……とりあえず無理すんな。倒れてからじゃダメなんだからな」



翔のそういう言葉はいつも私にしっかりと伝わっている。きっと翔が私に対して心からそう思ってくれているからだと思う。だから、私は翔のことが好きだ。かわいいし。



「……翔!!ありがとう!俺頑張るから!!!」


私は翔に抱き着いた


「分かった、から離れろ」
「お、おう!」



最初のころは男同士のスキンシップには戸惑っていた。顔はやたら近いし、すぐ身体に触れてくるし。しかし、今はそうでもない。一定の距離感覚というものが分かってきた。最近は、むしろ翔が私と距離を置くようになった……。なんでなのかは、よく分からないけれど。







私が翔と別れ、寮に戻るとき、いつものようにサックスの音が聞こえた。
もったいないなー退学するの。こんなに素敵な音なのに……。


まだ少し時間があることを確認し、音の聞こえるほうに向かった。
そこには聖川くんと神宮寺くんがいた。


お互いに何かを言い合っているみたいだったが、ここまで声は聞こえなかった。そして神宮寺くんは懐から取り出した紙を細かく破っていった。



私が神宮寺くんの方へ向かおうとしたとき春歌ちゃんが現れた。
春歌ちゃんがいるなら私の出番はないかー。とりあえず一回寮に戻ろう……。











私は一度寮に戻り着替えてから事務所に向かった






「おはようございます」
「おはよう、天音ちゃん。明日の資料かしら?」
「あ、はい、お願いします。」
「どうぞ、って少し顔色悪いわよ?」
「そうですか?そんなつもりはないんですけど……。」


体調が悪いとは思ってないんだけどなー。


「なら、いいんだけど、疲れはお肌の天敵なんだから、少し休んでくださいね」
「はい、分かりました!」




明日の番組の資料をもらった足で私はQUARTET NIGHTの打ち合わせ場所に向かった







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