07
今日の仕事はQUARTET NIGHTのこれからの活動の打ち合わせだ。
私が学園に通うことによって、彼らに楽曲を提供しにくくなるかもしれないということを考えた上での打ち合わせだ。



私はしっかり天音の姿をして事務所に向かった。一々どこかに隠れて着替えるというのは大変だ。そして時間の消費が……。







「おはようございます。遅くなりました。」


「天音ちゃんおはよー。大丈夫!まだ打ち合わせの時間より早いよーん。それにランランもまだ寝てるし!」
「天音が一番最後にくるなんて珍しいね。」
「俺を待たせるとはどういうつもりだ。」


「藍、ごめんねー、ちょっと忙しくてー。カミュ、私先輩。私貴方の先輩だから!!」
「ふん」


この生意気なのはカミュ。社長がシルクパレスという国から連れてきた、アイドルだ。なんでもシルクパレスでは伯爵という身分らしいけど先輩に対してこの態度なのはいただけない。あとでしっかりしめる
こっちは藍。これまた突如現れたアイドル。つい最近まで顔出しもせず、曲だけをダウンロード出来るようにしていた。しかし、QUARTET NIGHTを組んでからは顔出しもし始めて、その綺麗な顔立ちから沢山のファンがついた。とにかくすごくかわいい!そして若い!藍もあまり私に対して敬語は使わないが、藍はかわいいので許す。
で、あのソファで器用に寝ているのが蘭丸。もともとバンドを組んでいたみたいだが、バンドが解散してしまい、途方にくれていたところを社長がスカウトした。





「さて、全員揃ったし、そろそろ打ち合わせをはじめようか!」


蘭丸も起き、いよいよ仕事モードになった。



「今回の打ち合わせだけど」
「次のシングルの話でしよ?」
「さすが、藍。分かってるね。
前回のシングルを出してから三ヶ月。この間の曲もウイークリーで1位取りましたー!いえーい!!」
「ふん、この俺が歌っているんだ、当たり前だ。」
「お前が作ったあの曲なかなか好きだったぞ」
「お、蘭丸嬉しいこと言うねー」


カミュの俺様発言は全力で無視しようと思う。


「で、世間もそろそろ次の曲を望んでいると思うわけ。展開の仕方だけど、どうする?」
「どういう意味?」
「うーん、これはただの例なんだけどね。次のシングルとりあえず一曲はいつもみたいに四人。で、残りを二人ずつで歌うとか?」
「四人じゃ出せなかった色を出すってこと?」
「うん。」
「分け方はどうするんだ」
「いや、ただの案だし「ううん、その案いいと思う!」


私の持ってきた案にいち早く同意したのは嶺二だった。


「本当?」
「ね、ミューちゃんも思うでしょ?」
「ふん、俺は与えられた仕事はしっかりこなす。」


ということはカミュも別にいいということか。藍と蘭丸もそのまま話を続ける気でいるみたいだ。


「じゃあ、細かく決めていきたいんだけど、」










私達の話し合いは夜まで続いた。



「よし、こんな感じでいいかなー。」
「なんとか形にはなったね。」
「ねー。じゃあ、これは私が社長に出しとくね!
これからまた、打ち合わせが増えていくと思うし、よろしくね?」
「もちろん」
「ああ、」
「分かってる」
「ふん」


「じゃあ、今日は解散!お疲れ様でしたー」


カミュは解散という言葉を聞いて、早々に部屋を後にした。嶺二もこのあと仕事があるらしい。






「おい、天音」
「ん?」
「今度、新しいシングルを出すことが決まった。」
「おーよかったじゃん!おめでとう!」


蘭丸のこの間の曲かなり売れていたもんなー。


「それで、一曲は俺が作ることになっていて、もう二曲、お前が暇だったらでいいんだが、作ってくれないか?」
「……え、いいの?」
「いや、こっちが頼んでだけど。」


蘭丸のソロに私が関わっていいの!?


「蘭丸のソロに関われるの!?本当に!?なんで?どういう風のふきまわし?」





蘭丸が前に所属していたバンドが解散した理由は女性関係のごたごたがあったからと噂で聞いていた。そのため、今まではQUARTET NIGHTの活動中も蘭丸には一定の距離をとられていた。私もそういう理由があるのならとあまり蘭丸とは深く接してきたことはなかった。





「この間のあの曲。すげーよかったから」
「なに、デレ期なの?」
「は?何言ってんだ?」
「だ、だって、蘭丸が私のこと褒めてくれるなんて……!!」
「別に、んなんじゃねえよ!!」


しかも曲を聞いて私を認めてくれるなんて!!どうしよう、すごく嬉しい!


「頑張って二曲作るね!実は蘭丸イメージした曲が一つあって……。とりあえずそれをすぐ形にするから、今度渡すね?」
「おう、頼む。じゃあ、俺次あるから」


そう言って蘭丸は部屋から出て行った。


よーっし!がんばるぞ!!






「天音大丈夫なの?」
「ん?何が?」


残っていた藍が私に話しかけた。


「天音、社長から仕事減らせって言われて減らしているんじゃなかったの?」


な、なぜ藍はそんなことを……。


「さっき事務所寄ったら担当者が言っていた。『社長直々に天音ちゃんの仕事減らしてくれって言われてー。デビュー以来初めてだから天音ちゃん何かあったのかしらー』って」


事務所で私はそんな話になっているのか……。


「だ、大丈夫!大丈夫!!曲作るの好きだし!合間見てすればいいし!」
「天音が無茶しないんだったら別にいいんだけど。」
「うん、無茶しない!約束!」


私は小指を藍に向けた。


「これ、なに?」
「何って指切りだよ?」


指切りと藍は小さな声でブツブツと何か言っていた。


「はい、」


私は藍の小指に指をかけた。


「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます!指切ったー!」



私は藍と無理をしないという約束を交わして部屋を出た。






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