巡り会いてV | ナノ

「暇そうじゃな、アリス」
「ヒルゼン様!」

里に戻った途端再び病室へ放り込まれて数日、ボーっと外を眺めていたアリスの病室に三代目が訪れた。

「まさか結界まで張るとは・・・流石のアリスもお手上げかの?」
「えぇ、まぁ・・・。わざわざ結界が得意な忍を集めてまで張られてしまって、壊すわけにもいかず大人しくしています」
「だがそのお蔭で傷の治りも早いじゃろうて。サスケが心配しておったぞ。あのような怪我で暁に挑みに行くなど何を考えているんだ、とな」
「あぁ・・・此処に戻ってきてから、こっぴどく叱られました。一時間と予想していたのに二時間も・・・それもベッドの上で正座させられて・・・」

だって、でも、と反論するたびに伸びていく説教に足は痺れるわ体は怠くなるわ。一時間が過ぎたころから辛すぎて涙目になっていた記憶がある。そしてその辺からのサスケは随分と愉しそうだった。

──サ、サスケッ・・・足が・・・足が・・・!
──足が、なんだ
──そろそろ辛いなって・・・
──へぇ・・・それで?

ニヤリと口角を上げて此方を見るサスケが悪魔に見えた。
そう語ったアリスに三代目が朗らかに笑う。

そして、空気を引き締めるように真面目な表情になった。

「して、今回の暁──角都と飛段といったか──は、抹殺と戦闘不能にしたのじゃな?」
「はい、間違いなく」
「ふむ・・・サソリを砂の忍に復帰させたというから今回の事も気になってな」
「わたくし、誰彼構わず手を伸ばすほど考えなしではありませんわ」

相手はS級犯罪者だ。きちんと損得の勘定をしなければ自分の首を絞めることになる。
サソリの場合は更生の余地があり尚且つ木ノ葉の損にならないからこそチヨと組んで手回ししたのだ。
比べて飛段や角都はそういった事が見込めそうにない。むしろ恩を仇で返される確率の方が格段に高い。
考えもなくただ「助けたいと思った」やら「情が移った」やらという下らない理由で犯罪者を救うほど、お人好しでも馬鹿でもないのだ。

「アリスらしいのう」
「ありがとうございます」

いつの間にかまた緩まっていた雰囲気の中で、二人はにっこりと笑った。


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