巡り会いてV | ナノ

「サスケとはオレが闘る──」

ダンゾウとの対戦があった橋の下、駆けつけたカカシやマダラが見ている中でサスケと対峙しているナルトはそう宣言した。
真正面から強く言われたサスケが、いいだろうと、お前を一番に殺してやろうと言葉を返す。そしてそんな二人を見て涙を拭ってナルトとサスケを信じようと強く決心したサクラ。
サスケとはナルトが決着をつけると決まるとならばマダラだけでもとカカシが前に出るが、不意にここでマダラの身体が不自然に反応する。
面々が不審に思う中「あの女」と忌々しげに舌打ちを零したマダラの右目辺りの空間が歪み──するりと出てきたアリス達にナルト達が目を丸くする。

「やっと出られた・・・」
「え、アリス!?何やってんだってばよ!」

重い空気だったはずが思わぬ展開にぽかんとした顔でアリスを指さすナルト。アリスは「説明はあと」と短く返すとマダラと数歩距離を取りながら彼を振り返った。
片方だけ見える写輪眼と目を合わせれば不快そうに細められて、アリスは勝気に鼻を鳴らす。

「まさか空間そのものを壊しに掛かってくるとは思わなかったぞ」
「あぁでもしないと出してくれないでしょう。不快だと思うなら出口の一つでも用意しておきなさいな」

無茶ぶりを言ってのけたアリスは隣のサスケに目を移した。今は普通の黒目だが、どこか虚ろで焦点の合っていないそれに小さく眉を顰める。万華鏡写輪眼は使うたびに光を失うのだったか。この様子ではイタチの目は移植していないな。

──殺るなら今だ。

サスケに向けて手を翳すアリスに、後ろの方で息を呑む音が聞こえた。直後ナルトの制止が掛かる。何をするんだと、焦った口調の問いにサスケを殺すと返せば再びアリスを止める声が谷底に響く。

「なんでアリスがサスケを殺そうとすんだってばよ!」
「サスケはダンゾウを殺したわ。木ノ葉の忍としてこれを見逃すわけにはいかない。幸いチャクラを消費しているし万華鏡の使い過ぎで目は殆ど見えていないから、今始末してしまうのが賢いでしょう」
「何でそうなんだ! 第七班の仲間だぞ!? 簡単にそんな事・・・!」
「もう仲間じゃないわ。サスケは里を抜けた」

淡々と返される言葉に尚ナルトは諦めずに食らいつく。しかし帰ってくるのはサスケを見限った言葉だけで。アリスの手がサスケの心臓を捕らえるように宙で動いて、握り潰したら本当に相手のも潰れてしまうんだろうなと頭の片隅でぼんやり思った。
そういうことが出来てしまう奴だ、アリスは。

「(・・・ねぇアリス、気付いてる? アリスがサスケ君を突き放す言葉を吐く度にサスケ君が悲しそうに顔を歪めてるってこと)」

ナルト達のやり取りを見ていたサクラが心の中でアリスに問う。
ずっとサスケの事が好きだったけど、そのサスケだってアリスの事がずっと好きで。アリスの隣に居ようと誰よりも頑張っていた。だから復讐だけの人生から少しだけ顔を上げて周りを見渡せていたのに。
こんな光景は見たくなかった。

グッとアリスが手に力を込めればサスケは苦しそうに眉を顰める。ぼやける視界では彼女の表情はハッキリしないけれど。でも今まで過ごしてきた記憶の所為か、無表情であろうその顔には微笑む表情しか重ね合わせられなくて。

「アリス!ダメだってマジで!サスケとはオレが決着をつけるって決めたから、だから・・・!」
「その決着をつけるまでに木ノ葉に被害が出ては困る。この先忍界は少し騒がしくなるから、不穏分子はなるべく処理しておきたいの」
「──だあぁぁー! もう! なんで分かんねェんだってばよ! サスケは第七班の仲間だ! 俺が絶対ェ連れ戻す! だからその手ェ降ろせってばよ!
 今ここでサスケ殺っちまったら、オレってばアリスのこと嫌いになるからな!!」

平行線で拉致の明かない言葉のやり取りに我慢の利かなくなったナルトが半ば叫ぶように言う。まるで子供のような言葉選びにカカシは少し呆れ気味にナルトを見るがしかし、返ってこない返事に今度はアリスに目を向けた。
しばらくの沈黙が続いて、アリスがそっと手を降ろす。そして全員の目が集まる中大きく息を吐くとナルトを振り返った。

「ナルト、失敗しないと約束できる?」
「できる。サスケはオレが連れ戻す。約束するってばよ」
「………帰るわよ。
 サスケも、早く帰っていらっしゃい。・・・心配しているわ」

誰がとは言わずそう告げたアリスはイズモ達を目で促すとナルト達の下へ歩き出す。その肩越しにナルトとサスケの目が合って、マダラの術でサスケ達は姿を晦ませた。


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