巡り会いてV | ナノ

「お前が相手ならサスケも手が出せないと踏んでいたが・・・どうやら読み違えたようだ。その傷では戦えんしマダラ相手では中忍二人を連れて引くことも出来ぬ」
「ちょっとダンゾウ、貴方何を考えて──」
「この写輪眼も、金蘭も、“暁”にくれてやるわけにはいかない。そして忍の世のため木ノ葉のため、お前等を生かしてはおけぬ」

襟を引いたダンゾウの身体に浮かび上がる黒い模様。

裏四象封印術──

アリスとマダラに焦りの表情が浮かぶ。自分達を道連れにするつもりか。
ダンゾウから離れろと、サスケに怒鳴るように言うマダラ。

だが何を思ったか、サスケは下がるのではなく足を踏み出した。

その場から離れようとしていたマダラが慌ててその腕を掴んで引き留める。「離せ」とサスケの声が響いた。

「馬鹿が!巻き込まれるぞ!」
「煩い離せ!アリスがまだ・・・!くそ!離せ! ──アリス!アリス!!」

黒く染まっていく視界も気にせずアリスを呼ぶサスケにマダラは舌打ちを零す。このままでは全員道連れだ。
掴んでいた腕を引っ張ってサスケを時空間に放り込むと自らも封印術が届くギリギリでその場から消える。
直後、一帯に呪印が広がった。

──────────

「あれは自分の死体に引きずり込んで封印する道連れ封印術だ」

術が収まって綺麗に抉られた橋の底。横たわるダンゾウの死体を見下ろしながらマダラは呟くように言った。隣で呆然とその光景を眺めていたサスケだが、しばらくの沈黙の後「アリスは」と零したのを聞きとめて、大きく息を吐くマダラ。

「ようやく吹っ切ったと思ったが違うようだな。俺に殺られるくらいなら自分が、といったところか?」
「うるさい・・・お前が邪魔しなければアリスは──」
「失礼ね、サスケ。勝手に殺さないでいただけて?」

耳を通った声にサスケの体が反応する。気付けばダンゾウが横たわっている隣にアリス達が立っていた。思わず安堵の表情を見せるサスケとは反対に、今度はマダラが顔を顰める。

「まだ死ぬわけにはいかないのよ──残念だったわね。あぁそれと、ダンゾウの遺体は木ノ葉が引き取るわ」

「お疲れ様でした。ゆっくりお休みください」と、声を掛けるアリス。持っていた鏡にダンゾウが映って、そして目の前にあった遺体が消えた。
シスイの目を回収しようと考えていたマダラの舌打ちが耳に入る。

「サスケ、お前は一旦戻って体を休めろ」
「・・・お前はどうする」
「ダンゾウを回収してくる。アリスは・・・出来る限り生け捕りにしよう。殺すとお前がうるさいからな」

最後に香燐を始末しておけと忠告して、マダラは橋から消えたアリス達を追うように渦を巻いて消えたのだった。


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