巡り会いてV | ナノ

「奴の最後の話は一旦おいておくとして・・・さて、どうしたもんかのう」

マダラがいなくなった後、オオノキが沈黙を破った。
忍連合軍をつくるしかないと言う我愛羅に水影が雷影に意見を仰ぐ。

「弟は無事だったようだが・・・これ以上“暁”にだらだら振り回される訳にはいかん。忍連合軍をつくり一気にケリをつける!」
「木ノ葉はどうするんじゃ。火影が逃げたままじゃぜ」

サスケの襲撃で会場が混乱した隙に出て行ったダンゾウ達。戻ることはなかったし忍術は御法度の場で幻術を使用したことにより信用は失っている。それにこの事が木ノ葉の者達に知られたら里でもダンゾウの立場はないだろう。どの道火影とは認められない。

「連合軍結成の話自体はアリスが聞いているから良しとして・・・早急に次の火影を決める必要があるな」
「ならばわたくしから、はたけカカシを推薦するわ。実力も人望も申し分ないし少なくともダンゾウよりは貴方方の信用を得られるでしょう」
「あの白い牙の息子か」

アリスの勧めに土影と雷影が承諾を示して次期火影はカカシということになり、話がキラービーの捜索に移ると水影は八尾と九尾を隠しておくのが良いのではないかと提案した。
その案に反対し逆に尾獣を戦力とする方が良いのではないかと発言する土影だが、我愛羅がそれに否を告げる。

マダラが集めた七体の尾獣で戦争を仕掛ける理由は恐らく弱っている今のマダラや残りの“暁”メンバーだけでは八尾と九尾を捕らえることが難しいからだ。出来たとしてもリスクが大きすぎると考えた。それに二人を誘き出すためかもしれない。

我愛羅が並べた意見にアリスと水影、雷影が賛同した。
ついでにビーは作戦と言う言葉には縁遠い奴だと、逆に戦場が混乱するかもしれないと、雷影が呆れた様子で言う。その様子に我愛羅とアリスは顔を見合わせると「ナルトも同じだ」と彼の元気印を思い浮かべた。

──────────

「──で、奴が言っていた最後の助言とやらだが」

八尾と九尾は戦場には出さないという事で決定されたところで、我愛羅が先程のマダラの言葉を出す。全員の視線がアリスに集まってどういうことか説明するよう促された。
少し困ったように何を言おうか考えて当時の事を大まかに話せば影達の表情が険しくなる。

「厄介だな」
「ハッタリではないのか?見たところ何ともないぞ」
「あの男に限ってそのようなことはないと思うけれどね・・・」

頭の回るあの男の事だ。尾獣に干渉出来る自分を、集めた尾獣に近付けないようにしたいはず。今回の言葉もハッタリである確率は低い。

「・・・仕方ない、わたくしは後方支援に回るわ」
「しかしじゃぜ。八尾と九尾を出さないのに金蘭までも外れては戦力が大幅に落ち込むことになる」
「そうならないように守護結晶の術を忍達に施せばいいでしょう」
「ふん、あの厄介な術か。こんな所で世話になるとはな・・・。しかし数が数だけにどうやって掛ける?それにいくらお前と言えどチャクラが持たんだろう」

問題を提示する雷影にアリスはそれは追々考えると肩を竦める。取り敢えずの案を示しただけで具体的な事は忍連合軍の形が整ってきてからだ。

その後も議論は続き、大方の方向性が決まったところで話は連合軍の大権を誰に任せるかというところに戻ってきた。
ダンゾウは逃げてしまったしその他の影達は操られていたとはいえミフネが相応しくないという判断を下している。
沈黙が続く中、不意にアリスの口を開いた。

「わたくしはこの中では雷影殿が一番良いと思うわ」
「日向の件でワシを目の敵にしていたお前が一体どういう風の吹き回しだ」
「弟君が生きていると分かって冷静を取り戻したでしょうし、やはり里から“暁”を出していないというのは大きい。十分信用に足る」
「話を聞かんか!」

問いを無視して話を進めるアリスに雷影の怒声が響いた。後ろに控えるイズモとコテツが冷や汗を流しているのとは反対にアリスはフイとそっぽを向いて、雷影の顔が引き攣る。
こんなことで大丈夫か。
何とも言えない表情の面々だが、そこに我愛羅が仲裁に入った。

「コイツは里本位の性格だが、だからこそ信頼できる。アリスが里の行く末に関わる忍連合軍を雷影に任せて問題ないと言ったならそれで良いのだろう」
「風影様がそこまで言うなら・・・今は揉めている場合ではありませんし、雷影様を信じます」
「ふん、まぁいいじゃろう」

全員の賛成が得られて、大権は雷影が請け負う事となった。
これが世界初の忍連合軍結成の瞬間だ。


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