バリバリと音を立ててマダラの後ろの壁が破壊される。月の眼計画について話したいという相手の言葉を無視して突っ込んだ雷影はすり抜けた体に目を見張って振り返った。 その隙にサスケを異空間へ放り込まれて怒鳴れば、マダラはならば話を聞けと言って下に降りる。香燐がサスケ回復のために吸い込まれた。 「あれがマダラの能力ってやつか・・・」 「時空間忍術だな」 「捕まるとおかしな空間に放り込まれるわよ。自力で戻るのは難しいと思う。ただし、わたくしの時といい今回といい、相手に近付かなければ使えないようだけれど」 硬い表情の影達の目が再び上へ上がるマダラを追う。そして腰を下ろしたマダラは己の目的──月の眼計画について話し始めた。 六道仙人が書きつけたという古の石碑 一尾から九尾の集合体だという十尾の存在 六道仙人にチャクラを分けられて封印され月となった十尾の本体 そして十尾を復活させて発動するというある術 月に己の眼を投影する大幻術──無限月詠 「地上に存在するすべての人間に幻術を掛ける。俺が全ての人間をその幻術の中でコントロールし、世界を一つにするのだ。 わだかまりも争いもない世界だ。全てが俺と一つになる、全ての統一。 それが俺の“月の眼計画”」 言うまでもなく反対の意を示す五影達に残りの八尾と九尾を差し出して協力しろと言うマダラ。でなければ戦争になると。 その中に出てきた“八尾と九尾”に雷影がどういうことだと反応した。弟はうちはサスケに連れ去られたはずだ。 「八尾の捕獲は失敗し、逃げられた。あれこそ人柱力として完璧な忍だ。お前の弟だけある」 「──あのアホーンめ!これを機に里の外へ出て遊んどるのかァ!! 許さん!アイアンクローじゃ!!」 まさかの事実に雷影が遊び呆けている弟を思い浮かべて怒りに戦慄く。ビーがいなくなったことで里はてんやわんやしているというのに当の本人は自由気ままに放浪とは。 先程までとは違った意味で荒れている雷影にアリスはクスリと笑いを零した。 「うずまきナルトは渡さない」 「合理的で面白そうな計画だとは思うけれどね、ナルトを犠牲にするというのなら賛成しかねるわ」 「私も同じく」 「雷影、お前は?」 「勿論弟は渡さん!」 満場一致で出た答え。 自分には力はないが今までに集めた尾獣の力があると、お前達に勝ち目はないと、その言葉に「希望は捨てない」と我愛羅が返せばマダラは一拍置いて口を開いた。 「いいだろう・・・。 第四次忍界大戦──ここに宣戦を布告する」 信じられないといった表情の面々を見渡して、そして次は戦場で会おうと告げて渦を巻く。しかし何を思ったか急に術を止めて「そういえば」と思い出したように声を零した。 荒々しい声でなんだと問う雷影を一瞥したあとアリスに目をやる。 「戦争となれば無論五影とアリスが主戦力として戦場に立つことになると思うが・・・一つ助言してやろう。アリスは出さない方が良い」 「なんじゃと?」 「前にある術を施した。戦場に出せば厄介な事になるぞ」 そこまで言うとマダラは「じゃあな」と言葉を残して今度こそ会場から消えた。 [ back ] |