ナルトを置いてきたアリスはその足で火影邸へ向かっていた。執務室まで早歩きで行って、ノックをして返ってきた返事と同時に扉を開けて中へ入れば訝しげな表情の綱手と首を傾げているシズネが目に入る。 「どうしたアリス。急ぎか?」 「まぁ少し。これを見て」 スッと出されたのは先程先見に使ったカードの束。軽く投げれば机の上で六つの山と使わなかった束に分かれた。 何だこれはと言いたげな二人に山を見やすいようにそれぞれ広げてナルトに言った事を簡単に告げて、そして彼には言えなかったカードの山を指して「問題はここからなのだけれど」と話を切り出す。 「恐らくナルト達が隠される場所はばれるわ。ほら、この鮫と男は干柿鬼鮫が関係しているでしょうし、この蛇は恐らくカブト、爆弾魔はデイダラ」 「何・・・!?干柿鬼鮫とデイダラは死んだはずだろう」 「カブトが大蛇丸の研究を継いでいるはずだわ。穢土転生か何かを使っている可能性が高い。それに誰かが捕らえられているから、ナルトに付ける忍にはちゃんと注意するよう言っておいて」 難しい顔の綱手が誰か分からないのかと問うが否の返事が返ってくる。木ノ葉の忍かもしれないし、雷の忍かもしれない。ナルトの身に起こることを軽く占っただけだからそこまでは出なかったのだ。 険しい表情にならざるを得ない綱手とシズネだが一番の問題はその先だ。五つの束を避けて最後の山を真ん中に置いたアリスの顔はもうどうにでもなれとでも言いたげな呆れて諦めきったものだった。 「このカードの山・・・二人共意味が分かるかしら」 「なんですか?これ・・・。タコと狐ですよね」 「島から出て行く絵だが──まさか、」 詰まる所を察した二人が息を呑んでアリスを見る。それにコクリと頷いて、三人は頭が痛いといったように同時に深い溜め息を付いた。 「・・・この占い、当たるのか。お前の得意分野ではないんだろう」 「占いではなく先見だから当たるわよ。それもわたくしといえどこの程度のものなら九分九厘の確率で」 面倒しかない未来に綱手ががっくりと肩を落とす。何か対策をと思ったがその対策を行った先の未来がそれなのだろうと早々に諦めた。何より気を遣い過ぎてナルトに気取られては元も子もない。 どうもこの結果を報告したのはどうにかするためというより心の準備をしておくためのものらしい。 「どうするんだ、何か手を打たなければ後手に回る。それにあいつらを戦争に出すわけにはいかんぞ」 「出発が近いのだから今更雲や他の里と連絡を取っている時間はないでしょう。またバタバタしてしまうしナルトに不信がられては困るわ。そういう事だからこの事が起こる前提で動いて」 そう言ったアリスは疲れた顔で軽く手を上げると執務室を出ていった。 [ back ] |