人気のない偏境の地。 主要となるアジトの外にて、マダラは白い肌にフードを被り蛇を一匹従えた男──カブトと対峙していた。 挨拶という名の軽い嫌味を聞き流したマダラが“暁”の裏切り者として始末しようとするも、カブトは気にする風でもなく「話がある」と持ちかける。 「君と手を組みたい。──と、そのために集めたものなんだけどね・・・どうにも足りないからそのことについても少々」 印を組めば二人の間に現れる二つの棺。中には穢土転生されて縛られた角都とデイダラがいた。 足りない、という意味にはすぐに気付いた。 世に出回っている“暁”の討伐報告は六つ──飛段のものを抜いたとしても本来であれば五つ出てくるはずである。あの女が関わっていなければ。 そして討伐報告のいくつかの偽造をアリスが行っていたことは知っていた。 ──がしかし。しかしだ。 「おや、その様子だと遺体が見つからないわけを知っているみたいだね」 「お前には関係のない事だ。・・・それより長門はどうした」 イタチとサソリの死亡が偽りだとは分かっていた。が、問題は長門だ。先の木ノ葉襲撃で輪廻転生を使って死んだはずの奴がいない。 「さぁ?僕が探した限りじゃなかったよ」 「──あの、女」 ギリ、とマダラが歯噛みする。 サソリの事は、同盟国として利益を得られる可能性があることや木ノ葉に害がないことなどから、最初の違和感から生存確認まで辿り着くのに時間はいらなかった。 イタチの方も鏡の事があったしそもそも里抜けしたのも抜け忍になったのも任務の内だ。アリスがまだ里の忍として扱っていることは想像に難くない。 しかし長門は別だ。 木ノ葉を襲撃し半壊に追い込んだ張本人で、里としても雨隠れが無くなったところで損益など皆無。 ともなればアリスが長門の最期に居合わせたとて、よもや手を差し伸べていたなどと考え付くものか。 頭に浮かぶ目障りな女の高笑いに思い切り顔を顰めたマダラは、もう一つカブトが持ってきた秘密に更に機嫌を悪くして彼との取引に乗ったのだった。 ────────── 一方、雷影の招集があって集まった影達。軽い挨拶の後、すぐに本題に入った。 「敵の本拠地らしき場所はウチの者が突き止めている。アリスが別で集めた情報とも一致していて可能性は高いが、一応確認の途中だ」 「こちらも偵察部隊を編成して情報集めを行っているところだ」 「わたくしが入手した情報じゃどうやらカブトに不審な動きがあるそうよ。大蛇丸の研究を引き継いだらしいし、サスケを傍に置いているマダラに戦争絡みの取引で接触するかもしれないわ」 各々の情報を持ち合ったところで、バラバラのままでは効率が悪いという事もあり水影から情報を統括する部隊が必要だと案が出た。そしてそれに同意を示した土影が次に人柱力の隠し場所についての議題を出せば、渋い顔をした綱手が待ったをかける。 「アリスから説明を受けたが本当に隠す必要があるか?敵はうちはマダラだぞ。戦力を出し惜しみして勝利の気を失ったらチャンスは二度とない。ただでさえアリス、お前が削られているというのに・・・」 「今回は二人を守る戦争だ。アリスが出られないからと言ってナルト達を出すわけにはいかない」 「このことは前回の会談で多数決で決まったことじゃぜ。諦めろ、ナメクジ姫」 二人に諭されて、更には控えていたシカクにも諫められて、舌打ちを零した綱手は渋々了承の返事を返した。 火影の返答も得られたところで次は八尾と九尾の隠し場所だ。今は随分と減ったが“暁”の構成メンバーは各国の抜け忍で構成されていて、その部下も各地から集まった者。 こちらの情報がどこまで筒抜けているか分かったものじゃない。 さてどこにするかと考え始める──その前に、心当たりがあるらしい雷影が口を開いて皆の意識が集まった。 「とっておきの場所だ。“暁”のメンバーが出ていないここ雲隠れにある場所が妥当だろう。 ──ビーと一緒に修行に励んだ、ある孤島だ」 覚えのない孤島とやらにアリス達は興味深そうに話を続けるよう促して、そして後日、ナルト達は何も知らせないままその孤島とやらに送られることとなった。
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