『金蘭の姫君T』中忍試験編・1/2の予選 の最後の部分 「彼の惚れた腫れたの事情はまた別の話としよう」の別の話 「・・・ねぇ。シカマルってさ」 公園で空を眺めていた時、隣に座ってたチョウジが菓子を食いながら切り出した。 「なんだ?」 「アリスのこと好きだよね」 「・・・・・は?」 好き?俺が?アイツを? 何がどうなってそうなったんだよ、めんどくせぇ・・・。 「あれ、違うの?」 「ちげぇよ。何であんなキツイ奴」 「だっていつも見てたじゃん」 いや、それならナルトとかキバとかだってそうだろ。 見てたっつーか近くにいたから視界に入ってただけじゃねーか? 「んなことねぇよ」 「えぇーそうかな?テストとかある時はいつもドアの方気にしてたよね?それで、アリスが来たら少し反応してた」 「マジかよ・・・よく気付いたな、んな細けぇこと」 「昔からの友達だからね。流石のボクでも気付くよ」 「おーい、お前ら何の話してんだ?」 「ワンッ」 不意にキバの声が聞こえた。相変わらず赤丸も一緒か。 ・・・騒がしくなるな。 「あ、キバ。今ね、シカマルがアリスのこと好きだよねって 「おい待てチョウジ」 シカマルどうしたの?」 どうしたのじゃねぇ。本人の前で話すな。口の軽いキバの話の種になるだろうオレの身にもなれ。 いや、今更言っても遅いか。キバを見ればそれはもう面白そうに目を輝かせていた。 「なんだなんだァ!?シカマル、アイツのこと好きなのかよ!」 ・・・嗚呼、遅かった。 そのまま女子よろしく根掘り葉掘り聞いてくるキバに思わずため息が零れる。 違うと言おうが勘違いだと言おうが構うことなくむしろ余計深く突っ込んでくるこいつを誰かどうにかしてくれ。 というより、否定すればするほどオレがアイツのこと好きだって肯定してる空気になってきた。 「なーあー、教えろって!なんであんな自己中な奴に惚れたんだよ」 「惚れてないっての。つーかよ、アイツ意外と良いとこあるんだぜ?」 「うそだぁ」 んなことねェって。 例えば── ────────── ──────── ────── 「あ〜〜!追試明後日だってばよ!何もやってねェ!」 例えば、ナルトがテストで悪い点を取って追試に呼ばれたとき。 その追試で点を取れなかったら一ヶ月間の補習が待ち受けていた。 「へへー!相変わらず馬鹿だな、ナルト!」 「うっせーってばよ!キバ!」 「でもナルト、大丈夫なの?」 「めんどくせぇけど勉強しなけりゃ補習だぜ」 そう言ってやれば、ナルトは頭を抱えて呻きだした。 勉強はしたくない。けど、補習も嫌だ。といったところか。 どうせやらなきゃならないならテストで合格しといたほうが正直楽だよな。 「あーもう!誰かオレに勉強教えてくれー!」 「お前の頭じゃ今からやっても無理だってーの!」 そんな会話をしていたら、教室を出ていこうとしていたアリスが通りかかった。 ナルトが気付いてその腕を掴む。 「なぁアリス!明後日までに頭良くなる方法思いつかねぇか!?」 「・・・なんなのよ、いきなり」 「追試なんだってばよ!駄目だったら補習!」 「そう。わたくしには関係ないわ」 オレに負けず劣らず面倒くさそうに溜め息を吐いたアリス。 ナルトが掴んだ腕をそのままに、再び唸りだした。 面があって分からないがアリスの表情は大体想像できる。そろそろ怒るぞ、こいつ。 「どーすんだよ!オレってば補習とかぜってーヤダ!」 「放しなさい、ナルト」 「アリス!なんか良い方法ねぇのかよー!」 「はぁ・・・、放しなさいと──」 腕に抱えていたノートを振りかぶる。 チョウジが焦って止めようとしていたが、遅かった。 「──言っているでしょう!」
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