捜索記 | ナノ

13-3

「だいじょうぶですか?」
「わっ・・・びっくりした。君、あー、今剣か」

ゴタゴタが落ち着いて、シートの端で飲みなおそうと移動したら後ろから今剣に話しかけられた。
今日は大きい奴らしか見なかったから短刀はいないのかと思っていたら、彼曰く小さい子達は公園内を散策しているとのこと。私もそっち混ざりたい。

「あとここにいると へんなかっこうさせられるので」
「あぁ、あの酔っ払いの格好・・・みんなもよくやるよね」

加州やら蜂須賀やら歌仙やら──その他数名もあんな格好は頑固拒否な気がするんだけど。
個人的にはあの太郎太刀の酔っ払いスタイルを見てしまったことがショックだったりする。

「あのかっこうをしないと、はだかおどりに きょうせいさんか させられるんです」
「嗚呼なるほど」

だから蜂須賀とか歌仙とか燭台切とかは隅っこで鬱々とした雰囲気で酒を呷っているのか。

「いやでも、どうせ言い出したのは鶴丸でしょ。真に受けることないのに」
「"よきょうすいしんぶたい"をつくったんですよ。ねくたいをはずしたら、 やつらに ひんむかれます」

数の暴力こわい・・・。
というか今更だけど人数多い。六振り一部隊の概念どこいった。

あ、そういえば鶴丸が宗三から取り上げてた"魔王"を返しておこう。
なんか近くにいた宗三が「魔王・・・魔王が」とか呟いてるし。

「おーい、あなたの魔王が帰ってきましたよー。鶴丸経由でちょっといただきました」
「あの男が帰ってきたんですか・・・僕はまた籠の鳥なんですね」
「籠の鳥というかただの呑兵衛なのでは」

差し出した酒瓶を抱いて気だるげに座り込む宗三がゆるく私を見上げた。
ので、「お大事に」と伝えて早々に撤退した。
あいつ皮肉屋だからな。いや私の知ってる宗三とは性格違うかもしれないけど。絡まれたくない。

──────────

あの後今剣に誘われて短刀達と屋台を回っていた。
今剣以外は──粟田口一行と小夜は少し控えめに後ろをついてくる感じだけども。

「あ、あれなんですか?きになってたんですよー」
「うん?あぁ、チーズハットグだよ。韓国って国の定番のおやつなんだけど、串に刺したチーズに・・・あ、発酵食品・・・?いやうん、チーズに衣をつけて揚げたやつだね。ここ最近流行ってんの」

この子等チーズ知ってるかな。
食べたいか聞いてみたけど行列が長いからいいやと断られた。確かに話題になってるだけあって人気らしい。

ぐるりと大方の屋台を見て回ったところで、彼らの手には各々飲み物や食べ物が握られていた。
ちなみに私の財布に御在中だった野口さんが数枚犠牲になっていることをお伝えしておこう。
彼らと仲良くなるためには必要なことだったんだ・・・要するに餌付けである。

「あの、ありがとうございます」
「い、いただきます」
「たくさん食べるといいよ。他にも食べたいものあるならまたあとで買いに行こうね」

控えめにお礼を言ってくれる子達ににこやかに対応する私──うん、イイお姉さん。
一人満足している私の横で、唐揚げを食べていた薬研が辺りを見渡して感心した表情を浮かべた。

「にしても物凄い人だな。前の"ちょこれーと"の時も驚いたが・・・」
「桜の名所だからね。天気良くて桜満開で休日となれば毎年こんなもんだよ。分かってて見に行きたいと思うんだから日本人だよねぇ」

何回行っても飽きないんだからすごいと思う。


その後も平和に公園内を回り、無事短刀達を送り届けて私も帰路についた。

今日は珍しく平和な一日だったな。
・・・裸踊り?記憶にございませんね。


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