巡り会いてT | ナノ

中忍試験の志願書提出のため、七班は久しぶりにアカデミーを訪れていた。

珍しく皆より遅く来たサクラの様子を見てサスケは「(サクラの奴、何か変だな・・・)」と眉を顰める。

四人がそろったところで指定の教室に向かっていると何やら男二人が行く手を阻んでいるようで、通ろうとしたおかっぱの男の子が殴られていた。


「ふーん・・・そんなんで中忍試験受けようってのか」

「止めた方がいいんじゃない、僕たち?」

「ケツの青いガキなんだからよォ」


おかっぱの男の子を支えていた女の子が通してもらえるよう頼むも、同じように殴られる。

周りの誰かが「ひっでー・・・」と声を漏らした。


「なんだって・・・?いいか、これは俺達の優しさだぜ。中忍試験は難関だ」

「この試験を受験したばっかりに、忍を辞めていく者、再起不能になった者。俺達は何度も目にした」

「それに中忍っていったら部隊の隊長レベルよ。任務失敗、部下の死亡。それは全て隊長の責任なんだ」

「どっちみち受からない者をここで篩(ふる)いにかけて何が悪い」


行く手を阻んでいる男二人が喋っているところに七班が到着した。


「正論だな。だが、オレ達は通してもらおう」

「それから、この幻術で出来た結界をさっさと解きなさい。わたくし達は三階に用があるのよ」


その言葉の意味が分からなかった者達が「何言ってんだ?アイツ」と疑問を浮かべる。


「ほう・・・気付いたのか、貴様等」


感心したような声を出す男。

ここでサスケがサクラに向かって口を開いた。


「サクラ、どうだ?お前なら既に気付いてるはずだ。お前の分析力と幻術のノウハウはオレ達の中で一番伸びてるからな」

「!!、サスケ君・・・ありがとう。───勿論!とっくに気付いてるわよ!だってここは二階じゃない!」


サスケに認められて自信をつけた様子のサクラ。

男の感心の声と共に301と書いてあったプレートが歪み、201に戻った。


「なかなかやるね。でも見破っただけじゃ───ねぇ?」


いきなり男がサスケに蹴りかかってきた。

サスケもそれに応戦するため動く。

・・・が、すぐにおかっぱの少年に止められた。


「(っ!!速い・・・この人、さっきまで殴られていた人とは別人だわ)」

「フゥ・・・」

「(オレの蹴りを・・・!なんだ、こいつの腕のチャクラは・・・)」


それぞれが驚いていたところに、おかっぱの少年──リーと同じ班である、独特な目を持った少年──ネジと、髪を高い所で二つのお団子に結っている少女──テンテンがやってきた。


「おい、約束が違うじゃないか。下手に注目されて警戒されたくないと言ったのはお前だぞ」

「だって・・・」


そこまで言うとリーは頬を染めてサクラの方を見る。

彼等を横目に、サスケはアリスの横に移動して小声で話し始めた。


「あいつ、どう思う」

「殴られた跡が消えているわ。先程のはわざとでしょうね」

「フェイクか・・・」


そんな会話をしている間にもリーは歩いてサクラの目の前まで来る。


「僕の名前はロック・リー。サクラさんというんですね」

「へっ・・・?」


驚いた様子のサクラに“ロック・リー”と名乗った少年は頬を染めたまま口を開く。


僕とお付き合いしましょう!死ぬまであなたを守りますから!!(キラーン)



親指を立ててそう告白したリーに、サクラは目が点になる。

そして・・・


「絶対、イヤ。あんた、濃ゆい・・・」


その様子を見ていたアリスは半ば感心するように「まぁ・・・」と呟いた。


「木ノ葉のプロポーズは独特ね」

「アリス、あれは違う・・・!アイツだけの方法だ。他の奴らはあんな事はしない」


サスケが呆れ半分、慌て半分でアリスの知識に加わろうとしていた情報を訂正する。

そこに、後ろから「おい、そこのお前、名乗れ」とネジの声がかかった。


「人に名を聞くときは自分から名乗るもんだぜ」

「お前ルーキーだな?歳はいくつだ」

「答える義務はないな」


サスケのつれない答えにネジが顔を歪める。

二人のやり取りに呆れたように溜め息を吐くアリスを促して、サスケは踵を返した。


「───お前のことは知っている」


不意に投げかけられた言葉に、アリスとサスケはネジを振り返る。

彼の視線はサスケではなくアリスに向いていた。


「入って間もないというのにアカデミートップだったらしいな。話には聞いていたが、まさかこんな弱弱しい奴だったとは」

「・・・貴様」

「アリス待て。問題起こしたらマズいっつったのはお前だろ」

「大丈夫よ。他里の忍ではないわ」

「そういうことじゃねェ・・・!」


ネジの挑発にアリスの機嫌が急降下する。

サスケの制止を払いのけたアリスは一歩前に出た。


「わたくしも貴方のことは知っているわ。日向の者でしょう。流石、分家といえど威厳がおありなのね」


皮肉るように言った言葉に、ネジがギリ...と歯を食いしばる。


「行くぞアリス」


このまま戦闘になっては困るため、サスケはアリスの手を引いて歩き出した。

ナルト達の元に来ると片手を壁に付き項垂れているナルトとリーの姿が目に入る。


「さっ!サスケ君、アリス、ナルト、行くわよ!」


そう言ってサクラはサスケとアリス、それから落ち込んでいるナルトを連れて歩いていった。


「(サスケ・・・うちはサスケか。それにあの女がアリス・・・)」

「気になるの?あの二人の事・・・」

「フン・・・」


ネジが会話を終わらせて歩き出し、テンテンもそれに続いた。

動かないリーを見てテンテンが「行くわよ」と声をかける。


「君達は先に行っててくれ。僕にはちょっと確かめたいことがある」



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