―火の国・木ノ葉隠れ― 「んー・・・暇だってばよー」 アカデミーが休みの夕暮れ時。やることもなくて当てもなくブラブラしていた。 今は修行する気も起きねぇし、なんか面白い事ないかなー。あ、そういえば今度やる悪戯の準備しとかなきゃ。 そんなことを考えながら歩いている時だった。不意に視界の端に気になるものを見た気がして足を止めた。 「・・・ん?」 今、家と家の間にあった黒い物体動かなかったか? 細い路地に見えたそれが気になって、歩く姿勢のまま止めていた体をそちらに向けてじっと見つめてみる。 ──やっぱ動いた!ピクッて!犬とか猫かな・・・ 「・・・何か用?」 「えっうわっ、しゃべった!!?」 「何か用があるのか聞いているのよ」 なんだコイツ。超エラそう。 相変わらずそれは黒い塊のままで、路地が薄暗いこともあって姿がはっきりしない。声からして女の子、かな。 なんかすごく殺気を飛ばされてる気がする。 「えっと・・・気になったから近づいただけだってばよ」 「見世物ではなくてよ。消えてちょうだい」 うわ感じ悪い奴。別に消えてとまで言わなくてもいいじゃん。 ムッとして言い返そうとしたがしかし、ふと鉄臭い匂いが鼻をつく。 よくよく見てみるとその塊の下には血だまりが出来ていた。 「・・・怪我してんのか?」 「消えてと言っているの」 まともな返答は当然のように返ってこない。が、息が荒いしこの血の量だ。結構重症なんじゃないだろうか。 ・・・いくらなんでも放置はなしだよな。取り敢えず家に連れて帰ろうか。
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