巡り会いてT | ナノ

倒れたカカシをタズナが背負って家まで歩いた一同。今、カカシは布団に横になっている。


「写輪眼って凄いけど身体にそんなに負担がかかるんじゃ、考えものよね」

「すまない・・・」

「でも、まぁ今回あんなに強い忍者を倒したんじゃ! しばらくは安心じゃろう!」


明るく言うタズナに難しい顔をして考え込むアリス。その隣でサクラは再不斬を殺した面の子は何者だったんだと口にする。

カカシが、あれは霧隠れの暗部で追い忍の特殊部隊が付ける面だと説明を始めるがしかし、何故か途中で黙り込んでしまう。

再不斬が死んだというのに言い知れぬ不安感を感じる。重大な何かを見逃している気がするのだ。


「どうしたんだってばよ、先生?」

「ん?あぁ、さっきの話の続きだが追い忍ってのは殺した者の死体はすぐその場で始末するものなんだ」

「それがなんなの?」


そこでアリスが「あの追い忍は」と口を開く。

再不斬の死体をわざわざ持って行った。そして追い忍が使った武器は千本──殺傷能力は低いが確か使い方によっては仮死状態にすることも可能である


「つまり──」

「再不斬は、生きている」


アリスの言葉を継いで言ったカカシ。ナルト達が目を見張って息を呑んだ。

あの少年は再不斬を殺しに来たのではなく助けに来たんだろうというカカシの見立てにナルトは喜んでいるようだった。その様子を見てアリスは溜め息を吐く。


「まったく・・・まぁ、今度戦うのはしばらく先になるのではないかしら」

「あぁ、仮死状態から回復するには時間が必要だからな。そこでだ。お前達に修行を課す!」


カカシの言葉に抗議の声を上げるサクラ。殺す気か、という心の声も聞こえるのは気のせいではないだろう。

だが苦戦しているカカシを救ったのはナルト達であって、成長している彼等ならば出来ないことはないとカカシは判断したらしい。


「特にナルト、お前が一番伸びてるよ」


褒められて明るい顔になるナルト。だったが、アリスの「まぁ、伸びるしかないものね。どん底なんだから」という言葉にズーンと肩を落とす。

その時後ろから少年の声がかかった。イナリという名のその少年の発言にナルトが食って掛かろうとするも、サクラに止められる。

イナリは最後に「死にたくないなら早く帰った方がいいよ」と言い残して部屋から出ていった。

その後、ナルトも文句を言いにイナリの後を追って部屋から出た。


──────────


しばらくして修行のため森の中に来たアリス達。

しかし修行の前に忍としての能力“チャクラ”についてもう一度基本から話しておこうと言うカカシに、ナルトとサスケから不満の声が上がった。

“チャクラ”を“チャトラ”と間違えたナルトに呆れたカカシがサクラに説明するよう促す。そして分かりやすく、かつ簡単にチャクラを解説してみせたサクラに感心を示した。


「もー、なんだよなんだよ!難しい説明は分かんなくてもそんなの身体で覚えるもんだろ?」

「ナルトの言うとおりだ。現にオレ達は術を使えている」

「単に使えれば良いというものではないわ」


アリスの言葉にナルトがどういうことだと声を上げた。


「いくらチャクラの量を多く練り上げることが出来てもバランス良くコントロール出来なければ術の効果が半減してしまう。そればかりか、そもそも術が発動しないなんてこともあり得るの。加えて無駄なエネルギーの消耗は長時間戦えないなどの弱点も出来てしまうわ」


これは魔法でも同じだ。扱いにくいほどの強い魔力を持っていたから分かる。

だからこそ、三代目にはチャクラコントロールに重点を置いて修行をつけてもらっていたのだ。


アリスの説明を聞いて不安になるナルトがカカシを見る。

返ってきた答えが『身体でそのコントロールを覚える』ことだった。命を張って体得しなきゃならない辛い修行だと言われてナルト達の表情が硬くなった。


「な、何をやるの?」

「ん?木登り」

「「木登りィ!?」」


カカシの言葉に全員の身体から力が抜けた。体験済みのアリスがその様子を見て小さくクスリと笑う。


「だが、ただの木登りじゃない。手を使わずに登るんだ。──ま、見てろ」


そう言うとカカシは印を組んで足にチャクラを溜める。そのまま木に近づき──登った。

感心したような、少し唖然としたような、そんな表情になる三人。カカシはそのまま登り続け、高い位置にあった枝にぶら下がる。


「──と、まぁこんな感じだ。チャクラを足の裏に集めて木に吸着させる。チャクラは上手く使えばこんなことも出来る」

「ちょっと待って!そんなことでどうして強くなれるのよ?」


疑問を投げかけるサクラにカカシがチャクラをコントロール出来た場合の利点などを説明する。

それが終わると四人の足元にクナイを投げた。登れるところまで登ったら木に印をつける修行方法らしい。四人共がクナイを手に持つ。


「こんな修行、オレにとっちゃ・・・へっ!朝飯前だってばよ!なんたってオレってば、今一番伸びてる男!」

「御託はいいから・・・早く、どの木でもいいから登ってみろ」


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