「まずは第二の試験、通過おめでとう」 アンコの声が場内に響く。第二試験終了後、アリス達は予選会場に移動していた。 そこには受験者だけでなく、火影や担当上忍、試験官といった顔ぶれがそろっている。 「なかなかやるじゃないか、お前のチーム。運が良かったかな?だが俺のチームがいる限り、これ以上は無理だな。なんせ次の関門では否応なしに実力がものを言う。まぁ青春とは時に甘酸っぱく時に厳しいものだよ、カカシ」 そう語ってガイがカカシに視線をやった・・・が。 「・・・ん?なんか言った?」 「オーマイガー!!」 「冗談冗談。んー、それにしてもここから見る限りアイツは怪我をした様子もないし、第二の試験でも特に変化なしってとこかな・・・」 「ん?あぁ、お前が言ってるのはあの猫面のお嬢さんのことだろう?確か、少し前にも同じようなことを言っていたな。なんだ、悩みなら聞くぞ!」 「あー・・・いや、サディスト試験官の二人に無理だったし、ちょっと考えるよ・・・」 二人がそんなことを話していると火影が前に進み出た。 「ゴホン・・・これより始める第三の試験。その説明の前にまず一つだけ、お前たちにハッキリ告げておきたいことがある」 そう言って火影はこの試験の真の目的について説明を始めた。 どうやら中忍試験は同盟国間の戦いの縮図らしい。 そしてそれは各隠れ里の仕事の依頼数にも影響を及ぼすのだとか。 また、どれだけの戦力を持っているかという外交的圧力をかけることも出来る。 「───と、まぁこれがこの中忍試験の真の目的じゃ。ではこれより第三の試験の説明をしたい所なのじゃが、実はの・・・」 火影が語尾を濁した時、火影と受験者の間に一人の男が現れた。 「恐れながら、火影様。ここからは審判を仰せつかった、この月光ハヤテから・・・」 「任せよう」 火影の言葉にハヤテが受験者の方に身体を向け、第三の試験予選をやることを告げた。 今回は人数が多すぎてこのままでは本戦で時間が掛かりすぎるらしい。 「と、いうわけで体調の優れない、またはこれまでの説明で止めたくなった方、今すぐ申し出てください。これからすぐに予選が始まりますので」 誰も申し出る者はいない。 「(まぁ、ここまで来ておいて今更諦める者などいな...!!いっ・・・!)」 急にアリスが首を押さえて身体を強張らせた。 「どうしたの!?アリス!」 アリスの前に並んでいたサクラが気付いて小さく声をかける。 「いえ・・・」 「もしかして、また大蛇丸って奴に噛まれた所が痛むの?」 「・・・どうした」 「なんだぁ?」 二人が話していることに気づいたらしく、前にいたサスケとナルトも声を抑えて話に入ってきた。 「ナルト、サスケ君・・・またアリスの首が痛み出したみたい。・・・ねぇアリス、予選は棄権した方が・・・」 「大丈夫よ、これくらい・・・。棄権はしないわ」 その様子は受験者の前に立っていた火影達の目にも入っていた。 「やはりか・・・」 「どうします?」 「彼女は試験から降ろし、暗部の護衛をつけて隔離すべきです。大蛇丸が目をつけるということは何か特殊な能力でも持っているに違いありません!即刻辞退するように勧告して 「そう素直に言うことを聞くたまじゃないよ、アイツは」!!」 「なんたって“唯我独尊の毒舌くノ一”ですから。言ったところで鼻で笑って一蹴されるだけですよ」 アンコの言葉を遮って言うカカシ。顔を向けるとニッコリと笑っている彼がいた。 「何馬鹿なこと言ってんの!力ずくでも止めさせるわ!チャクラを練り込んだだけでも呪印が反応しちゃって無理に力を引き出そうとするのよ!?術者の身体を蝕む禁術なの!あの子が耐えてるだけでも不思議よ。ホントならもう死んでるわ。───火影様!」 アンコはそうまくし立てて火影を見る。 「・・・アリスはこのままやらせる。ただし、呪印が開き、力が少しでも暴走したら止めに入れ」 「はい」 「なっ!ですが・・・いえ、わかりました」 反論しかけたアンコだったが、一応は納得したようだ。
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