「・・・最初は大変だったってばよ。拾ったはいいけど怪我してるし毒舌だし、なんにも知らないし出来ないし」 「あぁ、前に言ってたな」 「それにしても、ナルトが変化してアリスの服買いに行ったことを聞いた時は笑ったぜ。なっ、赤丸!」「ワンッ!」 「変化?なぜ、わざわざ」 「いや、アリスは知らないかもしれないけど、男には買えない物もあるんだってよ・・・。あの日ほどお色気の術を覚えておいて良かったと思った日はないってば。あ、もちろん服は着てたけどな!」 「お色気の術・・・初めて聞くわね」 どんな術か分からず首を傾げていれば、シカマルが「ロクな術じゃねーから知らない方がいい」と呆れたように言う。 確かに術名からしてまともな術とは思えない。シカマルの言う通りスルーするのが正解か。 「まっ、そんなこと置いといてさ!折角だから公園にでも行かねぇか?」 「そうだな。ここにいてもやることねぇし」 「オレはパス。昼寝でもしてるわ」 「じゃあ、ボクもここで 「公園行くよな!?」...う、うん」 「よし。みんな行くみたいだし、アリスも行くってばよ!」 「オレ、パスっつったんだけど・・・」 「ナルト、公園って」 また知らない単語が出てきたらしく、アリスはナルトに視線をやって短く問う。 暫く共に過ごしていたせいかその呟きだけでもわかったらしい。説明を始めようとするナルトだが聞きとめたシカマルが待ったをかけた。 「そっからかよ」 「アリスといたらこんな事で驚いてるヒマないってばよ」 「こんな事って、公園だぜ?知らないはずねぇだろ」 「貴方達の常識を押し付けないでいただけて?」 アリスが眉を寄せて不機嫌そうに言えば再び沈黙が訪れる。若干不穏な雰囲気の中睨み合うキバとアリス。 ナルトとチョウジが話をそらすために話題を考えていたが、考え事をしていたシカマルが先に口を開いた。 「・・・お前、どこ住んでたんだ?ナルトから聞いた今までの話が本当だとしたらよほど身分が高かったか・・・あー、考えたくはねぇが監禁かのどっちかだと思うんだけどよォ」 「え、アリスってば閉じ込められてたのか!?」 「・・・失礼ね。わたくしを閉じ込めるなんて烏滸がましいにも程があるわ」 アリスがフードの下で目を細める。 高い位置で髪を一括りにした気怠げな少年は、どうやら頭が回るらしい。 「違うってーなら何な 「見つけたぞ!おい!お前ら、教室に戻れ!」やべっ」 「ど、どうしよう!逃げようにも階段はイルカ先生が立ってるから通れないよ!」 「心配すんな!」 「オレ達に任せろってばよ!」 そう言うとキバとナルトはどこからともなく長いロープを取り出した。近くの手すりに解けないように素早く括り付けて下に垂らす。 地面に届くほど長くなかったはずだけど、とチョウジがのぞき込むと、ロープの先は外階段に繋がっていた。 「二人ともナイス!」 「よしっ!行くぜ!」 「ボク、降りれるかな・・・」 「いいから行くぞ!アリスも早くしろってばよ!」 「わたくしは行かな 「しっかり掴まってろよ!」キャ、ア!?」 「お、おい!お前ら!」 ナルトはアリスを抱きかかえてロープを降りていった。 尤も降りるときは両手でロープを掴まなければならないため、アリスは自分の力でナルトにしがみつかなくてはならなかったが。 外階段まで降りると五人(アリスはナルトに横抱きにされている)は猛ダッシュでアカデミーを抜け出した。 そしてある程度アカデミーから離れた所でナルトはアリスを下ろす。 「何なのよ、もう・・・」 「脱出成功だってばよ!」 「公園行こうぜ!公園!」 一部が盛り上がりながら予定通り公園へ向かう五人。 しかし不意にチョウジが前から歩いてきた男とぶつかった。 [ back ] |