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双玉
「あいすくりーむ?」
「おう、なんか貴陽で人気らしいぜ。冷たくて甘いんだって。で、俺すげー気になるんだよなそれが」
「……食べたいのか?」
「一緒に食わねえ?美味しかったら姫さんたちにも買って帰ればいいし」
「仕方ない付き合ってやる」
こうして静蘭を町に誘いつれだって出かけたところまではよかった。
さすがに噂の店だけあって混雑はしていたが件の”あいすくりーむ”とかいうやつも無事手に入った。
噂通り冷たくて甘いそれは美味しく、夏のほてりを冷ましてくれる気がするが今の燕青はそれどころではなかった。
「結構、すぐに溶けてくるんだな…」
「お、おお」
「これではお土産に買って帰っても、溶けるな」
「そ、そうだな」
と、静蘭の言葉に相槌と打つが内容なんて右から左へ流れている。
この彩雲国に舐めて食べる料理はない。
舐めて食べるという行為に静蘭は一瞬ためらっていたが、一度やってしまうとどうでもいいのか今はかなり大胆に白いそれを舐め上げている。
それが問題なのだ。
(なんでこんな扇情的…っていうか色気まき散らしてるっていうか……)
次から次へと解けるアイスを慌てたようにぺろりと舐めとる仕草や
手に伝ったアイスを仕方なさそうに舐める仕草はなんだか違うものを想像してしまいそうなくらいに色っぽい。
(うわっ、やべえ……!)
そっちの想像をしてしまうとこの夏日にプラスしてぐんと体温が上昇し、頭がクラリと揺れた。
このままでは熱に侵されて何をしでかすか。
燕青は慌てて目の前のアイスにかぶりついた。
あいすくりーむ
どうか俺の欲も一緒に冷ましてくれ!
おわり
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