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高桂
※寺子屋時代
カランコロンと軽快な音をさせながら桂は石畳の上を急いでいた。
祭りに出かけると言えば、近所の人のおもちゃにされ見事に飾り付けられてしまったのだ。
淡い桃色が基調の着物は女物で、元来の顔立ちと長い髪のせいで違和感なく着こなしてしまっている。
高杉に笑われる
待ち合わせの相手に馬鹿にされると怒ったけれど、着替える時間はなく待たせるのも嫌でそのまま飛び出してきたが
やはり女物の着物を着ていくなど、笑われるだろうか。
そう思うと今まで軽快な音をならしていた下駄の歩みも遅くなった。
「…はあ」
いっつも冷めた顔で過ごしている高杉が以外にも祭り好きだと知ったのは数日前だ。
嬉しくなって、すぐに約束を取り付けた。
しかし今漏れるのはため息のみだった。
それでも歩いていればついてしまう目的地で、珍しく時間通りに高杉はそこにいた。
「ヅラ?」
「…ん」
「どうしたんだ?その格好」
「近所のおねーさんに、遊ばれた。やっぱり…変、か?」
言葉の途中で高杉の顔がかすかにこわばった気がして、桂の言葉が小さくなっていく。
「変じゃない」
「え?」
「別に変じゃない。…まあ男にしては変なくらい似合ってるけどな」
「っ!」
喜んでいいものか、怒っていいものか分からなくなり桂は複雑な表情で黙りこんだ。
そんな桂を見、高杉は1つため息をついて桂の手を握った。
「たか…っ」
「その格好なら、誰も気にしない」
「…うん…」
「行こうぜ」
少し照れたように手を握る高杉に、桂はそっと笑った。
浴衣
お前とこうしていられるなら
女物の浴衣くらい、なんどだって着てやるさ
おわり
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