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「That thou art blamed shall not be thy defect,

For slander's mark was ever yet the fair.

The ornament of beaty is suspect,

A crow that flies in heaven's seetest air.・・・」



「・・・竜崎?」



「ああ。すみません起こしてしまいましたか?」



「構わないよ。それより今の・・・ソネットか」







裸の体を起こしてベッドサイドの水差しに手を伸ばす。

隣で竜崎が発する英語をぼんやりと聴いていたが、喉の渇きに耐えきれなくなったのだ。

日本語も流暢だが、英語はきっとネイティブなのだろう、とても綺麗な発音だった。

事情後の掠れた低音で歌うような調子で言われると、気持ちよくてもう少し聞いていたいと思う。







「さすがですね。あのフレーズで分かるとは」



「でも意外だな。竜崎がシェイクスピアか」







口ではそう言いながら、意外なこともないかとも思えてくる。

似合わないと思っても実際やってみると誰よりもしっくりくる。竜崎はそんな奴だと思う。







「月くんを見ていたらこの詩を思い出しました」



「僕?」



「はい。月君は誰よりも綺麗で純粋で、残酷です」



「・・・・君がそう言うならそうなんだろうね」







めんどくさくてそう相槌を打ちながら、記憶をたどって詩を思い出す。

暇つぶしに色々読んでおいてよかった。

どこがらしいのか、全部思い出しても理解出来なかった。

勝手に言わせておこうとまた眠りに落ちようとすると、やんわりと疲れた体に刺激を与えられる。









「綺麗な蕾はどの蕾よりも多くの蟲を集めます。」



「・・・っん」



「すべての悪行に打ち勝ち、何もしらない。無垢なままで・・・」



「ちょ、さんざんしただろ・・ぁ、」







キスをされ、まだ敏感なままの体をまさぐられ霰もない声が漏れる。









「は、ぁ・・・りゅ、ざきっ。やめっ、、」



「私もあなたに支配される万人の1人でしかないのでしょうか・・・」









悲しげな声の響きとは裏腹に、竜崎の眼は獲物を捕えた肉食獣のようで。

詩の最後のフレーズが頭をよぎった。





Then thuo alone kingdoms of heatts shouldst owe・・・

【君は独り、万民の心を支配する王になれるはずだ】





                       (シェイクスピア/ソネット集抜粋)













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