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「竜崎。たまには息抜きも必要だと思うんだ」



「そうですね・・・。そういえば松田から取り上げたこんなモノがあります」



「ぷよぷよ、か。フィーバー2だ。」



「違います月君。ちゅー、です。」



「どっちでもいいだろ」



「いいえ、商品名は正しく言うべきです。」



「・・・・・・・・」



「分かりました。ならこれで私が勝ったら月君には『ぷよぷよフィーバーちゅー!』と言ってもらいます。」



「・・・いいだろう、受けて立つよ」





そうして彼らの熱いバトルは始まった。







ゲーム







「DSのカセットですね・・・。松田さんDSを」





カセットを持っていたんだから本体も持っているだろうという竜崎の読み通り、渋々と言った体で松田さんが鞄からDSを取り出す。

何故こんなものを持って来ていたんろうと思って後で聞くと、ミサに貸してあげようと思っていたそうだ。

こういうところだけ気が利く松田さんらしい。





「竜崎。勝負するなら本体は2つ必要だぞ?」



「大丈夫です。ワタリ」



「お持ちしました。DSlightです」





最初から2つともワタリさんに持って来てもらえばいいものを、松田さんから取り上げるのは一種の嫌がらせだろうかと考える。





「では私は月を使いますので、間違えました。DSらいとを使いますので月君はDS松田を使って下さい。」



「・・・色々つっこむべきところがあるんだろうけど・・・」





まるでDSに名前を付けてるみたいなその言い方に思わず頬が引き攣った。

大体いい名前ですよねなんていいながらDSlightを触っている時点で絶対おかしい。

だがそこで言い争っても仕方ないと諦め(というより竜崎の変態ぶりに諦めた)松田さんのDSの電源を入れる。

なんだか使い込んだ後があって、月はそっと横目で松田さんを見た。





「ダウンロードプレイで、す・・・ね・・・」



「ん?竜崎のどうし、・・・・・・」





竜崎の言葉が途中で途切れ、同じ理由で月も言葉を失う。

ダウンロードの際に本体名が表示される、竜崎のは新品で付けてもないから☆が3つ並んでいる。

が、親機のつまり松田のDSに付けられた名前部分が『まっつん』。





いい大人が、しかもキラを1戦で追うような仕事に就いている人間がまっつん。

大体嬉しそうに名前を付けているのにまた・・・。

こんな人が父さんの下で働いてるなんてびっくりだよ。

月は心の中でそうごちて、このことは早めに忘れようと努力した。





「普通モードでいいな」



「普通、と言うとフィーバーがあるタイプですね?」



「たぶん」





平和な会話をしながらキャラ選択までくる。





「『手堅くフィーバー』?このタイプってやっぱり関係あるのか?」



「どうでしょう・・・仕方ありませんね。松田さん!」





自分の使うキャラはちゃんと選ばないと、終わった後に『キャラが悪かった』なんて言えないために。

竜崎が解説を求めて持ち主である松田さんを呼ぶ。





「なんですかー」



「松田さん。このキャラごとに違う設定みたいなのの説明して欲しいんですけど」



「あ、これはね〜・・・」





簡単な説明が終わり、2人とも納得したようにうなずいた。





「竜崎は分かるとして月君ぷよ初心者?」



「1番最初のは友達に1度だけやらしてもやったんですけど、それ1回きりでしたね」



「松田さん。私やったことくらいありますよ?」



「え?あ、そうですか〜。ぷよぷよする竜崎ってなんか変な感じですねー」





あはは、と笑う松田さんを竜崎が睨む。

それが面白くて月も笑うと、そんなに変かと言われる。





「変じゃないけど想像つかないな、て思って」



「まあ。すぐに飽きましたけど相手が弱すぎて。」



「コンピューター相手じゃ物足りないって?」



「ええ。月君なら張り合いがありそうです。」



「そう言ってもらえて嬉しいよ。」



「あ、じゃあ僕はこれで・・・」







まだ勝負もしてないのに白熱し出した2人の傍から松田さんがそそくさと離れて行った。





「さて、やっとできるね」



「必ず言わせてみせます」



「絶対言わないからな」







勝負の行方は如何に・・・・・







End







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