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彩雲国もすっかり寒くなり雪がちらちらと舞い落ちてくるような頃、静蘭はその季節が大嫌いだった。
その日も降り始めた雪を見て、静蘭は忌々しげに燕青に愚痴る。
「まず、雪で瓦がもろくなる」
「ああ、なるほど。俺が直してやるよ」
「庭の野菜が雪に埋まって掘り出しにくい」
「俺、手の皮厚いから冷たくねーしやっといてやるよ」
「着込むから洗濯物が多い」
「あー…俺、干すぜ?」
「お前の干し方は汚いから嫌だ」
燕青の『やるぜ』アピールにこくこく頷いていた静蘭が、渋面を作って拒否を示す。
何をやるにもざっくりおおざっぱな燕青の干し方は、静蘭のお気には召さないらしい。
すげなく断られた燕青は、それから?と話を逸らす。
「あとは、そうだな…寒い」
「温めてやるよ!!」
「待ってましたとばかりに言うなバカ!」
恐らく本当に待っていたのだろう。意気揚々と言ってのけ、がばっと静蘭に抱きつく。
離れろ、バカ、単細胞!と悪態をついて燕青をぐいぐい押しのけていた静蘭が、おや、という顔をして止まった。
「燕青…お前、外でもほんとに暖かいんだな…」
包み込む暖かさに無意識にすり寄っていく静蘭。燕青の顔はデレデレと笑み崩れている。
「もっと、暖かいことしようぜ?」
そんな言葉と共に、燕青の手が静蘭の腰を撫で上げる。
静蘭は2,3秒間を空けて、燕青を見上げるとその唇をペロリと舐めあげた。猫のようだ。
「許可してやる。今日は寒いからな」
「やる気満々な静蘭もさいっこー!」
挑戦的で艶めかしい静蘭の瞳に一気に体温が上昇した燕青が驚くほどの速さで部屋へ戻る。窓から。
「窓を閉めろ。寒いぞ」
「暖かい部屋で気が変わった、なんて言わせねえために開けたまま、な」
文句を言おうと開いた静蘭の口に熱い熱い口づけを。
寒がりな気まぐれ猫
彼の気が変わらないうちに!
END
静蘭に振り回される燕青がすき!
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