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情事後の褥の中、軽く拭き取っただけの体のまま、夢と現実の境界あたりをうろうろしながら燕青は隣にある温もりを感じていた。
行為の最中はあんなにも熱くなる静蘭の体は、終わってしばらくすると少し低めのいつもの体温にもどっていた。
性交をする気はないが、もう少しくっついていたくて二人の間に少しだけ開いた隙間を埋めるように静蘭をそっと抱き寄せた。
「えんせい?」
「悪い、起こしたか?」
「……寝てない」
「そっか、」
熱く燃えがった後の、こうした静かで優しい触れ合いを好んでいるのは燕青だけじゃないようで、抱きよせた以上にすり寄ってくる静蘭に燕青は頬が緩んだ。
「やらけー髪」
「抜くなよ」
「はは、気を付ける」
ふわふわと揺れる解かれた髪に指を絡める。
ついでにするりと項にも指を滑らせると、静蘭の体がピクンと跳ね、燕青、と咎めるように名を呼ばれた。
それでも怒っているというには優しすぎるのは、互いの熱を共有し合ったあとだからだろう。
甘やかな喜びにひたっていると、唐突にされるがままだった静蘭が、燕青の首筋あたりまでずり上がり、顔をうずめた。
「ん?」
「別に…」
「どう、…うおっ!?」
どうしたのかと尋ねようとすると、ベロリといきなり首筋を舐めた静蘭にくすぐったさも相まって燕青が驚いた声を上げた。
それでも構わず静蘭は汗を舐めとるように、舌を這わす。
「おーい、静蘭…くすぐったいんだけど…」
「…くすぐったい?」
「こそばい、いや、嬉しいけど。でもこそばい」
静蘭からくっついて来てくれるのは嬉しいのだが、首筋はどうにも弱くて思わず首をすくめてしまう程度にはこそばかった。
しかしどうもそれは静蘭にはお気に召さない反応だったらしく、静蘭がむっとしたな、と気配で感じたと同時に
「…っって!!」
噛まれた。それも結構強く。
筋肉があるだの、なんだの言ったところで首は首、皮膚の薄いそこが静蘭に噛みつかれてどうなっているかなんて考えたくもない。
「いきなり何すんだよ静蘭!」
「うるさい」
怒った燕青に、なぜか静蘭も不服そうにふいっとそっぱを向いてしまう。
本気でどうこうという訳ではなく、情事後の馴れ合いの一環でもあるそれらの行為に燕青も諦めたようにもう一度静蘭の体を抱き寄せた。
END
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