君にさらわれて




(現代パロ)



嫌だ。
嫌だ。

どうして…

頭の中がグルグルして



キモチワルイ



何も考えられない




君にさらわれて



他人に無関心な都心を危なげな足取りで歩く男。
目まで覆った前髪で分かりにくいが、美しい顔立ちをしている。
そんな彼をじっと見つめる目があった。
その男もまた、美しい顔をしていた。
立っているだけで何人もの女が声をかけてくる。
男は優雅な物腰で、丁寧に断った。



「おう、兄ちゃん。1人でどこ行くんだ〜」

「……。」

「シカトか?ああ!?」

「よく見れば綺麗な面してんじゃん」



いかにも柄の悪い男に絡まれるが、まるで見えていないかのように通り過ぎようとする。
声も聞こえていないようだった。

そんな彼の様子を変だとも思わず、値踏みするような視線で舐めるように見始める男たち。




「私の友達が何か迷惑をかけたかな?」




さらりと黒い毛を無造作に流した美麗な男が唐突に現れる。
先ほどから見つめていた男だ。



「っんだ。邪魔すんじゃねーよ。」

「そういう訳にもいかないだろう?私の大事な友達だからね。」



そう言いながら親しげに腰を抱く。
男は抵抗することもしなかった。



「私は藍楸瑛と言う。それでもまだ何か言うつもりなら聞くよ?」



男―楸瑛の言葉に男たちの顔色が変わる。
藍家。
そんなものに手を出したら人生が終わる。
中身のない頭でもそれぐらいは理解できたようで、逃げるように否。逃げて行った。



「大丈夫?」


楸瑛はそこでやっと腕に抱える男の顔をまじまじと見た。
遠巻きに見るよりずっと美しい顔にドキリとする。



「薬でもやってたのかな…。」



そう思えるような状態だったが。
その顔はおおよそ薬などしそうになかった。
理知的で真面目で、賢さが滲み出ているようにも見える。
あてにはならないが、楸瑛はそう思った。



「…い…」

「!しゃべれるのか?」



掠れた声は何を言っているのか分らなかったが、確かに声は出た。
楸瑛はなぜ自分がこんなに嬉しくなるのか分らなかった。
助けた理由も自分で分かっていないのだから。
勝手に動いていた。そうとしか言えなかった。




「嫌だ…俺は…」

「大丈夫。大丈夫だから、ね?」



宥めるように背中をポンポンと叩きながら優しく優しく囁いた。




「1人は…嫌…。」

「大丈夫。私がいるから。ずっと君といるよ。」



楸瑛ななぜこんなことを言っているのだろうとぼんやりと思う。
でもほってはおけなかった。
言葉通りずっとこの子といてもいいと思っていた。
理由なんて分からない。
ただ一緒にいたいと強く。思った。



「居る?…一緒、に」

「居るよ。君と一緒に居る。」



強張っていた顔が一瞬緩んだ。
微笑。
目を見張るほど美しかった。



「うん。…ありがと、う」



すっと意識をなくした体を楸瑛は邸まで運んだ。





ずっと一緒にいる。








End


■□■□■

カオス
意味不明。絳攸名前出てないし。
なんかラリってるし。

ごめんなさーい(逃走)

[ 2/15 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -