かさぶたを無理に剥がすような
時折、高杉と再開することがある。
それが偶然なのか、故意になのかは分からないが。
何であれ、嬉しかった。
ただ体を重ね合い、次の朝目覚めたときには1人だったとしても
一晩だけであろうと愛情と呼ぶには禍々しすぎる熱情を高杉から与えられるだけで、満たされた。
「…っ」
ある時、隣から離れる温もりにふと意識が浮上した。
身支度をしている高杉は、起きたことには気付いていないようだ。
薄眼を開けて、刀傷と自分の爪痕にまみれた背中を見つめる
「ヅラ…」
ふいに名前を呼ぶから、気付いていたのかと思ったがどうやら違ったらしく高杉はそっと髪に口づけた。
抱いているときよりもずっと優しいそれに、涙が出そうになる。
小さいときから、高杉はこの黒髪にご執心だった。今も。
高杉はしばらく髪を弄んでいたが、空がうっすらと白みはじめたのを見て億劫そうに立ち上がった。
隣から温もりが離れていく。
かさぶたを無理に剥がすようなお前の離れていく瞬間は
そんな痛みに似ている
END
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