「晋助」



珍しく銀時はおらず
高杉と桂は近くの茶屋で買ってきた団子とお茶を手に、いつもの河原へ来ていた。
ふと思い出したように呼びかける桂に高杉は視線だけを向けた。




「この格好って女に見えるか?」

「はぁ?」

「見えるか?」




いやに真剣な桂に、高杉は目を細めた。
小さい時は本当に女だと思うほど可愛らしい容姿だった。
今だってそんなに変わったわけではないが、そもそも着るものが男の着物なのだから分かるはずだ。




「誰に言われた?」

「え?」

「どうせまた女みてぇだって言われたんだろ?」

「いや、違うぞ。」




どうも桂と話すと遠回りな会話になる。
いったい桂が何を言いたいのか訳が分からず、高杉は無意識にイライラした。




「交際を申し込まれたんだ。男に」

「はぁ!?」



寝耳に水だ。
高杉はあまりの驚きに飛び起きて桂の肩を掴んでいた。




「誰にだ!?」

「な、何もそんなに驚かなくても…お、落ち着け晋助」

「いいから言え、誰だそいつぁ」




目を瞬かせ、驚いた顔で高杉を見上げているが、そんなもの高杉には目に入っていなかった。
桂が男に好かれたことなど問題ではない。
そっちの気のある男なら一度は邪な感情を抱かせてしまうのが桂だ。
問題は告白できるほど桂に近づいた点だった。
こうならないように気を付けていたのにと、高杉は不快感を露わに舌を打った。




「し、晋助…かお怖いことになってるぞ?どうした?」

「誰にだって聞いてんだろ?」

「、此処の茶店の息子だ…。おい、どこに行くんだ晋助!?」




茶店の息子。
確か今年で16になる男だったか。
高杉はどうずるかなんて考えてはおらず
ともかく一発殴ろうと腰を上げた。
殴るつもりだったのに口から出たのは




「そいつ殺してくる」




そんな物騒な言葉で。
桂が慌てて腕にしがみついた。




「ま、待て!なんでそうなるんだ!?」

「…で、てめぇはどう答えたんだ?」





詰問するような口調ではなかった。
それなのに桂の口は勝手に言葉を紡いでいた。











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