「ここはどこだ?」

「そんなことも知らないで繋がれてたのか!?あそこはなぁ…あ、その前にお前名前は?」

「人に名前を聞く前にお前が名乗れ」



助けてもらったにも関わらず、静蘭は凛然と言い放ちます。
その王者の風格を纏う姿に燕青はほんの少し驚いた様子を見せましたが、すぐに悪い悪いと言って謝りました。



「俺は燕青!で、お前は?」

「私の名は静蘭だ」

「そっか、よろしくな静蘭!」



顔も声も名前も綺麗なんて、と燕青は思いましたが口にすれば怒られるのは目に見えていましたので心の中にとどめました




「それで、ここはどこだ?」

「ここは瞑祥って変態のおっさんが支配してる小国、んで静蘭が掴まってたのは瞑祥の城」

「めいしょう…?」

「お前さ、どっか別の場所から来たのか?このあたりの奴であいつ知らない奴いねーし」



静蘭はすでに小さく見える城を振り返りました。
大きさでいえば静蘭が以前住んでいた城の方が大きいかもしれません
それでも、瞑祥の城は立派なものでした



「わたしは…」



静蘭は自分のことを話そうとして、はっと気が付きました
いくら助けてくれたとはいえ、この男に身の上話をする必要どないと思ったのです
しかし燕青は恩人です。さすがに冷たくし続けるのは静蘭の良心が痛みました。
しかし、口を開こうとした静蘭の唇に燕青は人差し指を当てて黙らせました。



「なっ、」

「言いたくないなら無理に言う必要ねえから」



燕青の言葉には強がった様子もありません。
本心から言っていることが分かりました。
静蘭は反応に困りました。なぜなら彼はそういった気遣いに全く慣れていなかったのです。



「な、なら…聞くな!」




結局口から飛び出たのはそんな言葉でした。
静蘭は内心でしまったと後悔していたのですが、燕青は少しも気分を害したりしていませんでした。
それどころか、警戒心の強い静蘭を手負いの動物のようだと可愛く思っていたのです。
燕青は口元をほころばせて静蘭の頭をかき混ぜます



「悪かったって」

「ばっ、触るな!」


怒って燕青の手を払いのけながらも速度を落とさず燕青の隣にくっつく静蘭に、燕青はすっかり惚れてしまっていました。






続く



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