「ぅ…んっ」



昨夜の情事の激しさを物語るようなかすれた声をあげ、静蘭はゆっくりと瞼を開いた。
入ってくるのはしっかり鍛え上げられた男の胸板。



(割れ目……)



自分とは違うくっきりとした筋肉のラインを何となく指でなぞる。
昨日の情事の時にその溝を伝っていた汗を思いだし、唇を寄せる。
すっかり乾いた体をペロリと舐め、静蘭は僅かに顔をしかめた。



「しょっぱく…ない…」



まだぼんやりとした頭で、普段代謝のいい体は塩分の少ない汗しか流さないのは事実なんだなと考える。
つまらん、と何がつまらんのか自分でもよく分からないまま、舌触りを確かめるように燕青の腹をもう一度舐めたところで、もぞりと燕青がの腕が動き静蘭の髪に触れた。



「なにやらしーコトしてんだよ?」



寝起きのくせにやけにスッキリした顔をニヤつかせた燕青。
別に、とそっけなく返しながらもう一度舌を這わす。



「おいおい…何がしたいんだよ…」



官能的な香りなど何一つ感じさせないまま、まるでただ子猫が指を舐めるような無邪気さで悪戯し続ける静蘭に燕青は困ったように笑う。
指に絡めたままの細い髪をくいっと引くとようやく静蘭が燕青を見た。



「あ」

「ん?」

「ひげ…」



うっすらと伸びたひげを細い指でなでるように触り、今度は燕青の顔に顔を寄せた。
寝ぼけているのか、目覚めているのかよくわからない緩慢な動作で顔を近づけた静蘭はそのまま先ほどと同じようにペロリとその生え始めのひげ部分を舐めあげた。
さすがに驚いた燕青は、静蘭の頬を両手で挟みほんの少し離す。



「どうしたんだよ静蘭?甘えてんのか?」

「いや、別に」



無理やり目を合わせられると嫌がるように視線を外し、その後身をよじって燕青の拘束から逃れた。



「ええー、静蘭?!」

「うるさい」



そのまま隠れるようにごそごそと寝台へもぐりこんだ静蘭に、燕青は深々と溜息を洩らすのだった。






同じなのに違う君




END


筋肉がついてもムキムキじゃないし髭ももじゃもじゃにならない静蘭

何をさしたかったのか、相変わらず起承転結のきの字もありません








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