恋の天秤







※妄想設定【恋の闇】の続き










行動の前に、脳が働きすぎで停止するくらいに考えた。
考えて考えて、躊躇って。
それでも思いは変わらずに、これが自分の根底の望みなんだと認めたら、認めた瞬間軽くなった。
だから俺は、絶対後悔なんかしない。

そう決めたはずなのに、鉄格子の向こう、ぐったりと横たわる静蘭を見ると瞳が揺れた。




「……満足か?」

「!?」




気絶しているはずだと思っていた静蘭から言葉が発せられ、思わず息をのむ。
こちらを見ないまま、静蘭はもう一度同じ言葉を繰り返した。
答えなければと、拳を強く握る。




「…ああ、静蘭がそーやって俺の元にいるなら、なんだって」

「下種が…!」




感傷を振り払うように頭を振って、捕食者の笑みを貼り付ける。




「下種はどっちだよ、静蘭」

「なに」

「許さないって言ったその口で、数時間後には喘いでたくせに」

「黙れ!あれはお前が…っ」




憤ったようにこちらを向いた静蘭の顔が苦痛に歪む。
静蘭の体を気遣わずに行った長くしつこい性交のなごりが、太ももを伝って床へ落ちた。
ようやく自分を映した瞳に向かって、燕青は加虐的な笑みを向ける。



「俺がやったことを喜んだのはお前の体だろ?」




でもすぐに起きれるってことは、まだ足りなかったんだな。
そう言いながら出たばかりの鉄格子の中へ戻る。

途端に食い殺さんとばかりに掴みかかってくる静蘭だったが、疲労した体では普段の半分の力もなく、あっさりと燕青に組み敷かれた。




「この程度じゃ、足りねーか?」

「やめ、ろ…っ」

「は、こんなにぐちょぐちょなのに…?」




後孔に指を這わせ、そろえた二本の指を突き立てると、先ほど注ぎ込んだ燕青の白濁が卑猥な音をたてた。
馴らされた体は指を増やしても難なく受け入れ、締め付けた。




「やっぱ、足りなかったか?」

「っ…う、ぁ」

「素直になれよ」

「も、無理…」




どれだけ静蘭の体が卑猥に誘っていても、静蘭の心とか頭はもういっぱいいっぱいで




「ヤ、だ……燕青…」




静蘭の頬を生理的ではない涙が伝い、ピタリと燕青の動きが止まった。
ここへ閉じ込めてから呼ばれなかった名前。
静蘭が故意に行っていることは分かっていたから、だからこそ動揺した。





「せい、らん…」

「抜け、っ」




思わず、言われるがままに指を引き抜く。
中から異物が出たことに安心したのか、限界を超えていた静蘭の体は一気に弛緩した。
抗えない疲れに引きずり込まれる様に、静蘭の意識が遠退き、静かに眠りに入った。

意識を失った静蘭の横に座りこみ、涙の跡をそっとなぞる。




「やらなかったら、もっと後悔してたんだ」




握りしめた拳から流れる血が痛くても、静蘭を失う痛みよりはずっとましだった。







恋の天秤
君との幸せと、君の命





END

恋シリーズ第三段、というより前作続き。
相変わらず厨二っぽい。

妄想設定過ぎて燕青のキャラが崩壊しているよう、な…






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