あめだま










それは小さくて透き通った色をした小さな球体。
袋の中でころころと転がる姿は可愛ささえある。



「なんだそれ?」



静蘭の手の中を指さして尋ねる燕青に、静蘭はちらりと視線を投げ、無視した。
静蘭の目は再び袋の中の球体に奪われている。



「せいらーん」

「うるさい」

「教えてくれてもいーじゃねえか。それ、なんだよ」



静蘭の興味が自分に向かないのが気に入らないのだろう、いつもの光景ではあるが。
ようやく静蘭は燕青に向き、袋の中身を掌に転がした。



「飴…?」



飴にしてはやけに綺麗な色合いに燕青は疑問符をくっつけて尋ねる。
こくりと頷く静蘭。この綺麗な色をした可愛いものに目を奪われていたのかと思うと、さっきまでの不満などどこかへ消えさる。
燕青はふうんといいながら薄い紫色の飴をつまみ上げた。



「この色、静蘭の髪の毛みてー」

「色だけだろ」

「いんや、綺麗で、甘そうで、思わず食べたくなるあたりが」



そっくりだ。そう言えば、静蘭には寒いと一蹴される。
それでも静蘭の髪と同じ色だと思うと、掌の飴すらも愛おしく思えてきた。
食べたいけど食べたくない。



「静蘭、あーん」

「は?―っん!」



ぽんっと静蘭の口の中に放り込むと、静蘭は少し驚いた顔をした。



「甘い…」

「だろうな」



もごもごと口の中で飴を転がす姿は可愛くて、抱きしめると以外にも抵抗されなかった。




「美味し?」

「んっ」



調子に乗って口づけると、ほのかな甘みが口いっぱいに広がった。







あめだま
「甘いな」そう言って笑ってみる





END


甘いの書こうと思ったら甘すぎた
脳には甘いものが一番













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