あけましておめでとうございます







※双玉ではありません




「しゅーれーい!」


新しい年を迎えた貴陽、邵可邸に賑やかな声が上がる。
新年といってもいつも通りささやかなご馳走を食べただけの秀麗たちは何事かと顔を見合わせた。
聞き間違いでなければあの声は



「劉輝じゃないの、あら、藍将軍に絳攸様まで。明けましておめでとうございます」



やはり聞き間違いでなく劉輝だった。
秀麗は嬉しそうに挨拶した後、劉輝に困惑した視線を向けた。



「新年は挨拶して回るので忙しいんじゃないの?うちなんか来てる暇ないでしょ」



尤もな秀麗の言葉に挨拶を返しながら劉輝は胸を張る。



「おけましておめでとう秀麗、邵可、静蘭。秀麗は余が仕事をサボっていると勘違いしているようだが違うぞ!」

「おめでとうございます主上、藍将軍に絳攸様も。で、お嬢様に逢いに来ることの何が仕事なんです?」



結婚の申し込みなどと言ったらとりあえず主上だろうが雪の中に放り出してやるぞという含みを込めて微笑む静蘭。
残念ながら鈍い劉輝には通じなかったが、楸瑛と絳攸は劉輝にそっと憐みの視線を送っていた。



「うむ、余は今日”紅家直系”の邵可の家へ挨拶に来ているのだ!誰も文句は言わない…はず…たぶん」

「はずだとか多分だとか…大丈夫なんですか?」

「う、うん…」



言い淀む劉輝にそれまで黙っていた邵可が歩み出た。



「主上、紅家直系に挨拶と言うなら黎深のところへ行かないと」

「…紅尚書のところへ行くくらいなら執務室で仕事する…」



拗ねた子供のような態度に邵可邸一同はやれやれとため息をつき、仕方ないというように苦笑した。
楸瑛に絳攸もすみませんと頭を下げる。



「お嬢様とお茶でも飲んだら帰るでしょう」

「ああ、たぶんね…。秀麗に新年のあいさつに行くのだー!ってうるさくてね…私たちではどうにも…」

「本当にな…迷惑をおかけしてすみません邵可様」

「いえいえ、私たちは構わないですよ。どうせ暇ですしね。ただ主上が後々古狸に何か言われないかと心配ですが」

「古狸って父様…。まあお茶くらいなら休憩を同じでしょうし」

「そう言ってもらえると助かる。本当にすまんな秀麗」



ひそひそと話し合う5人に、劉輝の期待に満ちた視線が突き刺さる。
効果音をつけるとしたらきらきらきらきらとやかましいだろう。
仕方ないな、という空気が流れ全員の意見がまとまった。



「いいわね劉輝、お茶を飲んだらちゃんと仕事に戻るのよ?」

「い、いいのか秀麗!」

「今日だけよ?」

「うむ!そうと決まれば邵可も静蘭も早く来るのだ!」



ぱああっと明るくなった顔劉輝に押されるようにして室内へ入る。




「今度からは、いきなり来ないで文くらい出しなさい」

「まあまあお嬢様、食材と新茶も頂きましたし」



新年料理の食材とお茶が手土産だったことも、戸を開く理由だったらしい。
もしかすると最大の武器だったのかもしれない。
新茶を持った邵可が嬉しそうな顔をしたが、その言葉に他の面々は顔をひきつらせた。



「そうだ、私がお茶を淹れてあげよう」

「と、父様はいいのよ、まだ新年なんだから座ってて、ね?」



秀麗に止められ諦めた邵可に、そこにいた5人はほっと胸をなでおろした。
そうして無事に美味しいお茶が注がれ、全員で席に着き、お酒ではないが自然と杯を掲げた。






あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします





END


燕青まで出す文章力がなかったです…
私の実力では3人が限界(少ない…)
楸瑛と絳攸もはや空気ですがちゃんといます。

ということで明けましておめでとうございます!










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