カタワレ











幾度となく考えることがある。
自分はどうしてよりにもよってあんな男を選んだのか。
自分のそばには世界で一番素晴らしいお嬢様がいるのになぜ恋愛感情は一寸もないのだろう。
そもそも男なら燕青なんかより劉輝の方が絶対可愛い。


結局自分しか答えの出せない悩みは静蘭を悶々とさせていた。



「あにう…静蘭?」



そう。せっかくの劉輝とお茶をしているのに台無しだ。
静蘭はゆるく頭を振って頭を占める燕青を追い払った。



「すみません主上」

「静蘭にも悩むことがあるのか?」



無邪気に尋ねてくる劉輝ににっこりと笑いながらなぜと問いかける。



「意識がどこかふよふよしているような顔をしていたぞ?」

「意識がどこかへ…」



だとしたら燕青のところだろうか。
やっぱり腹ただしい。
むっと顔をしかめた静蘭にも劉輝はめげなかった。




「も、もしかして・・こ、恋人のことか?」

「……。なぜ?」

「うっ…だって静蘭の顔がちょっと幸せそうだったから…」



冷え冷えとした声にうっと言葉を詰まらせるが、思い切って言ってみる。
すると静蘭は一瞬不思議そうな顔をした



「そんな顔でしたか?」

「うむ。余もあまりみないような顔だった」

「そう…ですか」

「だからその相手にちょっとむっとしているのだ」



素直に告げると静蘭は柔らかく笑って劉輝のお茶を注ぐ。



「主上の方が大事です」

「恋人よりも?」

「あいつは恋人なんかじゃありませんから」



じゃあなんなのだ、と尋ねる劉輝を笑顔でいなし、遠い地にいる燕青を想う。
ずっと考えてしまうほどの存在。たぶん良い表すなら。





カタワレ
失くした半身のようなものだろうか






END


紫兄弟が書きたかっただけ。












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