迎春





昨夜の内に雪が降ったのか
薄く積もっていた




コンコン




年末年始の間は船は目立つと
陸地に上がっていた高杉の家にノックが響く
新年早々誰だと緊張を緩めず扉を開くと雪のように白いものが立っていた





迎春







【あけおめー】

「……ヅラァ…なんて格好してんだ」




新年早々変なものを見た、と高杉は桂に胡乱な眼を向けた。




【ヅラじゃない桂だ!】

【違った、ヅラじゃないエリザベスだっ!】




さ、さっと素早い動きで木板を裏返す。
頭が痛くなってきた。
謎の生物エリザベス。
桂の飼っている宇宙生物だが、その正体は未だ不明だ。
このようにかぶり物で成り済ますこともできる。




「はぁ…まあいい。上がれ」

【お邪魔します】





バレている、と言っているのに律儀に筆談を続ける桂に高杉は微かに笑った。




「ヅラ、いい加減それ脱げ」

【何のことだ?】

「お前ぇの顔が見れねえ」




素直に言えば桂の動きは数刻止まり
その後もぞもぞとかぶり物を脱ぎだした。
現れた顔にほんのりと朱がさしている。





「……さ、寒かっただけだ!」

「は?」

「お前は知らんだろうがエリザベスのあの…きぐるみは暖かいんだ!」




知りたくもないが
必死に言い訳する桂は見ていて面白かった。
高杉は腕を伸ばし、恐らく邪魔だったのだろう、結ってある桂の髪に触れた




「あんなもん被っててもすぐに分かる、」




においで。
と言葉を続けると桂は眉根を寄せた




「そんなに匂うか?風呂は毎日入ってるが…洗濯もしてるし…」





そういうことではないのだが、一々説明するのも面倒だし
言うことでもないだろうと高杉は考えこむ桂を無視して髪の毛いじりを止め、煙管に火をつけた





「ああ!そうだ、はい」

「?」

「年賀状だ!」






満面の笑顔で差し出される年賀状
丑年なんてことまったく気にせずでかでかとエリザベスが写っている。
とりあえず受け取った。




「可愛いだろう!」

「何が?」

「エリザベスに決まってる」

「ああ…?」




あまりに得意げに言われるものだから一瞬そうなのかと思いかけ
高杉は軽く頭を振った。
可愛いとは言い難い
いつも思うが確実に桂の方が可愛い




「本当はにゃんこでもよかったんだがハガキだと肉球が分からないからな!」

「にゃんこ?!」




なんて可愛いことを言うんだ。
高杉はがくりと項垂れた
昔ならいちいちヒートアップしていたが今では慣れた。少しだけ。
問題なのはどこでも言ってるということだ。
桂を狙う男が減らないわけだ、と納得する。
今年も忙しそうだ。





「で?何しに来た?」

「だからさっきからしてるだろう。挨拶」




あれか。





「なのにお前はちっとも返さない…失礼だぞ!」

「挨拶、か」

「そうっ…おいっ!?…っん」





口を尖らせ子供のように怒る桂の腕を引っ張り自分の上に倒れこませた。
文句を言おうとした口を塞ぐ。




「俺からの挨拶、してやるよ」

「い、いらん!」

「ックク」





此処へ来た時からそのつもりが無かった訳ではないだろうに、抵抗を試みる桂に高杉は楽し気に笑った。






END




※最初にリクの順番を入れ替えたことお詫びいたします
季節物で、時期が一致したため優先させて頂きました。


記念すべき五万打キリリク「新年高桂」とのことだったのですが
リクに全然添えてない上に
ギャグにもなっていなくて申し訳ありません><
無駄にだらだら書いてしまって…
あ、私は楽しかったです(←
こんなものでよければ貰ってやって下さい!

akito様
五万打&リクありがとうございました!
今年もよろしくお願いします。


2008/1/1






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -