気の向くままに










気の向くままに




久し振りに旧友に会った。
そう呼べるかは分からないが。




「跳ね馬じゃねえかぁ」

「ん?おお!スクアーロじゃないか。日本で何やってるんだ?」




別に任務中でもなく、休暇がてら半ば無理矢理ザンザスにつれて来られた日本。
何が楽しいのか、並盛に滞在すると言い出したザンザスに従って、なんの取り柄もないような平凡な街にいた。
それを説明するのも面倒で休暇だとだけ告げる。



「俺も久々の休暇なんだ。スクアーロお前暇そうだし久々に遊ぼうぜっ」

「え、久々も何もお前と遊んだことなんかねえだろぉお!!!」




突っ込みもむなしく、跳ね馬にずるずると引きずられていく。
昔はあんなにひょろっちかったくせに、いつの間にこんなに逞しくなったのやら。
無邪気に喜ぶ跳ね馬にまあいいかという気がしてくる。
どうせボスは昼まで起きない。



「遊ぶって何するんだぁ?殺し合いならいつでも準備できてるぜぇ!」

「一般人にそんな迷惑かけられないだろー。っと着いた!ここだ」

「……は、ゲーセンて。お前は中坊かぁ!」



まだ昼になっていないため、人気も少ないゲームセンターの前。
さすがに入るのを拒むと、跳ね馬はパンっと手を合わせてきた。



「頼むスクアーロ!これ取りたいんだ!」

「は?」



これ、と指さされたのは、入口にあるUFOキャッチャーの中の鳥?
かなりの大きさがあるので恐らく取りにくいのだろうが、知ったことではない。



「いくらなんでもこの趣味はやめとけぇえ!!」

「俺じゃねえよ!…俺の好きな子がさー、欲しいっつってて…でも来る機会なくてさー…」

「取ってやって持っていこうってかぁ?」



間髪入れずの首肯。
呆れた。恋人のためなんて馬鹿らしい。



「やってられるか。俺は帰るぜぇ!またな」

「え?帰るのか?…じゃあ1人でがんばる。じゃザンザスによろしくなー」




変な奴。
朝から出歩くんじゃなかった。
その思いが一層強くなったのは帰って珍しくザンザスが起きているのを見た時だった。







「よ、よぉボス。朝から起きてるなんて珍しいじゃねえか…うおっ」



寝起きのザンザスは怖い。
はっきり言って普段も相当のものがあるが、寝起きとは比べ物にならない。
今も飛んできた時計に危うく当たりかけた。



「…今までどこ行ってた」

「え?外だけどどうかしたかぁ?」

「誰と」

「、っ跳、ね馬…っつ」



こいつはこういう男だ。
自分のモノが人に触られるのを嫌う。
絞められた首が苦しい。



「カス。俺が寝てる間てめえは男と会ってるわけか」

「ぅぐ…っ」



視界が軽く白ばんできた。
こんなにもされているのに、ボスの嫉妬が嬉しいと思うのはオカシイのだろうか。
怒気が心地いい。



「まだ他の男と遊ぶ元気があるなら、ヤらせろ」

「っ、げほ、げほっ。い、いぜぇ…ごほっ」



突然入ってきた空気に気管が驚く。
むせながらも、求められるままに体を開いていく。
その行為は決してやさしいものではなかったが。










「っ、ボス…いてぇ」

「喚くな」

「っ、、ぁ」



快感なんて感じてる暇もない。
ぎしぎしと骨のきしむ音と、ぐちょり、という卑猥な水音。
四つん這いにされ、表情が見えないのでボスが分からない。



「スクアーロ」

「はっ…なん、だぁ、」

「テメェは俺の誰のものだ?」



馬鹿な質問をしやがる、と思った。
そんなものあの時からずっと決まっている。
分かっていて聞くザンザスといつも答える俺。
頭の悪い愛情の確認方法。
だから俺は今日も答える



「ずっと前から、っザンザスのモノだろぉ…っン」



反転させられ、落とされた唇は普段のそれと変わらず
似合わないほどに甘かった。





END


≫杏奈様!
たいっへん遅れまして謝罪の言葉も詰まります…ごめんなさい×∞(ノД`)
こんな駄作ではありますがお納め下さい。
申し訳ありませんでした色々。



2008,10,5






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