安らげる人




冬に夜中ずっと裸でいたからだからだろうか。
どうやら風邪を引いたみたいだった。




「静蘭!寝てなきゃダメって言ったでしょ!?」


「しかしっ……」


「しかしじゃないの!!」



寝台から出て、活動しようとする私をお嬢様は怒って押し戻す。


「大人しく寝てなさいっ!」


珍しくお嬢様に怒られ、私は思わず大人しくなる。










「静蘭大丈夫かぁ??」


しばらくして、燕青が濡れタオルと生姜湯を持って現れた。
お嬢様が素早く立ち上がって、それらを受け取る。


「燕青、色々とありがとう」


お嬢様が燕青にそう言ったのは具合が悪くなった私を運んで来たのが燕青だからだ。
だが私はお礼なんて言わない。
元の原因がこいつだからだ。
簡単に言えば、夜私を脱がしたくせに、終わった後で服を着せずに放置したのだ。
残念ながら私は意識を失っていて、自分で着ることは出来なかった。
恨みをこめて少し睨みつける。



「ちゃんと寝てろよー」



睨んでいるにも関わらず、燕青は近付いて来て私の額に手を置いた。
外から入って来た燕青の手は冷たくて、心配そうに撫でる仕種もあわせて気持ちいい……
目を閉じて、快感に浸っていると何だかおかしい。




私がおとなしくされるがままになっているのが珍しいのか、燕青は額にあてた手を私の頬に滑らし、指先で唇を撫ぜ始めた。


「燕せっ……!」



甘味を含む仕草に講義の声をあげようとするが、大きな手の平で口を塞がれ、叶わなかった。







「静蘭、早くよくなれよ?」



燕青は突然手を口から離したかと思うと、あろうことか素早く口付けをしてきた。



「んーっ//!!!」



「やっぱ少し熱いな…」




唇は一瞬で離れたが、すぐそばにはお嬢様もいるのだ。
私は羞恥で顔を赤く染めた。



「静蘭?嫌だ、熱上がってきたんじゃない?!顔がさっきより赤くなってるわ」




振り返ったお嬢様が、私の顔を見て心配そうに寄って来る。
スッと横に寄った燕青がお嬢様に見えないように笑ったのが
見えた。




「い、いえ、大丈夫ですよ…ッゴホっ、ゴホッ!!!!」




慌てて言ったものだから、空気が器官に入って大きく噎せた。




「静蘭!?大丈夫??私やっぱりお医者様のところへ薬を貰いに行くわ!!」




「お嬢さッ…!!」




慌てて起き上がろうとすると、燕青に肩を押されて布団に戻される。



「嬢ちゃん、俺が看てるから行ってきてくれていいぜ」



至近距離で燕青が微笑んでいる。
なんもしねーから
小さな声でそう言われた。



「じゃあ燕青お願いね?すぐに戻れると思うんだけど…」



「大丈夫ですよ…ありがとうございますお嬢様」



「静蘭はとにかく寝てなきゃダメよ?じゃあ行ってきます。」



最後まで行くのを渋っていたお嬢様が家を出て行く。









「静蘭なんか食う?」



思いのほか、燕青は甲斐甲斐しく世話を焼いた。



「何か果物…」


本格的に風がひどくなってきた私は、弱弱しく答える。
すると燕青はすぐに部屋を出て行った。


「はぁ…」


せっかく燕青も私も暇だったというのに…
付いてない。
体の鍛え方が足りないな。


「静蘭、梨でいいか?」

「ああ。」


返事をするのも億劫になってきた。
隣で綺麗な手つきで皮を剥いていく燕青。
私はぼんやりとその顔を眺める。


綺麗に切りそろえられた梨を、口元に持ってこられる。
大人しく口を開き、食べた。
瑞々しい梨の爽やかな甘さが口に広がる。


「やっぱり嬢ちゃんには行ってもらって正解だったな。」


「?」


「だってお前俺の前以外だと気い張ってるか、気を使ってるかだろ?風邪の時くらい甘えろよ。」


確かに。
反論したいが、確かに燕青の言う通りだったので黙る。





反論する代わりに、今日くらいこいつに甘えてやってもいいかもしれない。


熱のせいでぼんやりする頭で少しだけなら、と燕青の手を握った。









end



●あとがき


いつものことながら…
二三様!!!
遅れて申し訳ありません!!!

しかもできた作品がこんな駄作で…ごめんなさい(土下座)

しかもキリリクに添えてるかすら分からない;
甘甘?静蘭が弱ってるだけじゃね?
はい!その通りでございます。
すみません。

でもどんなに苦情がありましても、二三様以外からは受け付けませんのでご了承ください。

二三様のみお持ち帰り可です。

では、読んで下さってありがとうございました。


2007/9/24 氷雨 澪






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